「2018年いっぱいで『ピーター』のぬいぐるみを脱がせていただく事にしました」

 5月21日、報道各社へのFAXでこう宣言したのが、歌手「ピーター」としても活躍してきた俳優・池畑慎之介さん(65)。今年で芸能生活50周年を迎え、来年から休養に入るという。池畑さんがその真意を明かした。

池畑慎之介さん ©文藝春秋

「この頃、芸能界でも身の周りでも、亡くなった方をお見送りすることが多くなりました。自分の人生を考えると、『次は見送られる番かもしれない』と感じる年になってきたんです。『ああ、楽しかったな』と悔いなき人生の終わり方をしたいと思ったとき、『やりたいことがあるんだったら、いまのうちにやっておきなさい』と言う、もう一人の自分がいました」

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 池畑さんは「引退でも終活でもありません」と笑う。「死ぬまでにやりたい事リスト」を作り、「これはやった」と項目を消したり、また書き加えたりしているという。

 還暦間近のころから、断捨離や4軒あった家の処分など、生活のダウンサイジングに取り組んできた池畑さん。きっかけは東日本大震災だった。被災しながらも懸命に生きる人たちの姿に、「大切なのは物じゃない」と痛感したという。

「スマホがあって助かったのは、大量にあった写真を処分できたことです。カシャッと写メを撮ったら、横に置いたシュレッダーにかけていく。エイッと処分したら、すごく楽になりました。思い出は、記憶の中にあればいいです」

 洋服も大量に処分。亡くなった両親の着物は全てほどき、ドレスを4枚作った。

「タンスの肥やしとして持っていたって意味がない。着てあげたほうがいいでしょう」

 黒澤明監督の『乱』(1985年)が、芸能生活の大きな転機となったという池畑さん。断捨離をしても、黒澤監督からもらった手紙は、「宝物だから残してある」という。“世界のクロサワ”との知られざるエピソードや、休養を前にした心境を語ったインタビューは、「文藝春秋」8月号に掲載される。

黒澤明監督の『乱』にも出演 ©文藝春秋