突然「奥さんが心肺停止に…」と電話が

――奥様を亡くしてから立ち直るのにはどのくらいの時間がかかったのですか。

ぺこリーの しばらくの間、立ち直れなかったんですよ。嫁を亡くした後の4年間は記憶があやふやです。

――奥様が亡くなった時のことをお聞きしてもよろしいですか。

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ぺこりーの ボルダリングのジムで撮影をしていた時に大学病院から電話がかかってきたんです。「えっ。なんで?」と不思議に思いながら電話に出ると、看護師さんから「奥さんが心肺停止になり、AEDをかけて意識が戻った」ことを説明されました。

 嫁に電話を代わってくれたんですが、嫁は「仕事中にごめんなさい」と何度も謝るんですよ。「しゃべれるんだ」と思いながらすぐにタクシーを呼んで病院に向かいました。

 病院に着いて「こんなに大きな病院に……」と言葉をなくしながらも病室に向かったら緊急手術になって。嫁が手術室に入る前に「私、死ぬのかな? 死にたくないけど、もし死んだら2匹のワンコと一緒のお墓に入れてね」と言ったんです。これが最後の言葉になりましたね。

58歳で亡くなったぺこりーのさんの妻

「最後の最後まで嫁が回復すると信じていました」

――病名は。

ぺこりーの 急性心筋炎という心臓の筋肉に炎症が起こる病気でした。手術が終わって集中治療室に運ばれた嫁はコードやモニターがたくさんついていました。ここの記憶もあやふやではありますが、医者は希望を持たせるような曖昧な話ばかりするんですよね。私も「治るはず」と思って、毎日夕方4時頃に病院に行く生活を送っていました。

 病院から家に帰って2匹のワンコにご飯をあげて、散歩に行って……。いつもフラフラで自分も倒れそうでしたし、1日も気の休まる日はありませんでした。明日になればこれまでみたいに話せるようになるんじゃないか。そんなことばかり考えていました。

――先が見えないですね。

ぺこりーの 最後の最後まで嫁が回復すると信じていました。ただ、3ヶ月が経った頃に決断をしなければいけなくなったんです。医者から「この管を外したら終わりです」って言われて。「ああ……俺が決めないといけないのか」と思いました。

 でも、その時は外してあげたかったんですよね。だから「もう楽にさせてください」と言って。生命を維持するためのコードが外れていき、数分で息を引き取りました。