そろそろ結論を出さなければならない。何がって、並行して別路線が走っている区間を利用するときにどちらを選ぶべきか、である。例えば、成田空港。京成のスカイライナーとJRの成田エクスプレスがガッチリ競合している。多くの人は、自宅などから乗換案内サイトではじき出したルートのままに行っていることだろう。ただ、かかるお金や時間、そして乗り換えなどの楽さ加減をもっと真剣に考えてもいいのではないだろうか……。
というわけで、今回は多くの人を悩ませる首都圏の“競合ルート”ビッグ3を取り上げて様々な要素を比較、そこに答えを出してしまうことにする。
京成vs.JR 成田空港はどっち?
まずは冒頭でも少し触れた成田空港。住んでいる場所によって、京成派かJR派かで分かれるところかもしれない。もちろん京成沿線に住んでいたらスカイライナー一択だし。でも、なかなかすんなりと選びきれない人も多いはず。一体どちらを選ぶべきなのか。
・所要時間
京成/スカイライナー 京成上野~成田空港 約48分
JR/成田エクスプレス 東京~成田空港 約56分
あっさりと京成に軍配である。何しろ京成のスカイライナーは時速160km運転、これは新幹線以外の在来線列車では最速のスピードだ。山手線駅からなら日暮里駅も利用できるから、JRからすればどうにも分が悪い。
・運賃(ICカード利用)
京成/スカイライナー 京成上野~成田空港 2465円(乗車券1235円、特急券1230円)
JR/成田エクスプレス 東京~成田空港 3017円(乗車券1317円、特急券1700円)
こちらも京成が大差をつけてJRを退けた。所要時間も運賃も京成のほうが勝っているのだから、もうJRを選ぶ筋はなさそうだ……。
・利便性(乗り入れ先や停車駅、本数など)
京成/スカイライナー 京成上野~成田空港間のみの運転、20分間隔
JR/成田エクスプレス 横浜や新宿発着の列車もあり、一部には大宮駅や高尾駅などからの列車も。運転本数は30分間隔
郊外からなら成田エクスプレス
運転本数こそスカイライナーに軍配が上がるが、問題は京成上野もしくは日暮里駅からしか乗ることができないこと。それに対して成田エクスプレスは大船・横浜発着の列車と池袋・新宿発着の列車が東京駅で併結する運転パターン。つまり、乗り換え無しで成田空港まで行ける駅がスカイライナーに比べて格段に多いのだ。さらに言えば、大きな荷物を抱えての海外旅行の出発、郊外からなら乗り換え不要の成田エクスプレスは意外と便利なのである。ただし、所要時間は新宿~成田空港で約1時間30分。実は山手線で日暮里まで行ってから京成に乗り換えたほうが早かったりする(運賃ももちろん京成のほうが安い)。
というわけで、成田空港を巡る争いは京成スカイライナーの圧勝である。乗り換え回数が多少増えたところで、それを補って余りある安さと所要時間の短さ。ジャパン・レール・パスがある外国人旅行客にとっては追加料金無しで乗れる成田エクスプレスはありがたい存在だが、首都圏に住むならよほどのことがなければ京成スカイライナーを利用するのがベターな選択と言えそうだ。
ちなみに、京成には特急料金不要の「アクセス特急」もあり、こちらは京急・地下鉄浅草線経由で成田空港までを結んでいる。京成高砂からならば約1時間、新橋からでは約1時間半。運賃をさらに節約したければ、こちらを選ぶのも一手だろう。