6月9日、それまで師匠であった元横綱旭富士の定年退職により、伊勢ヶ濱部屋を継承した元横綱照ノ富士(33)。角界一の大所帯を率いることになった新生・伊勢ヶ濱親方が、「文藝春秋」9月号で自身の相撲人生と師匠としての意気込みを語った。

「名門の伊勢ヶ濱部屋を継承し、プレッシャーはないかと訊かれますが、稽古指導の面では現役時代からずっと若い子たちに指導をしていますから、そこに変わりはありません」

伊勢ヶ濱親方 ©日刊スポーツ

「明確な目標を持つこと」の大切さ

 指導の内容は弟子一人ひとりに応じて変えるというが、全員に共通して「明確な目標を持つこと」の大切さを教えたいという。

ADVERTISEMENT

「私自身、幼少期から横綱時代に至るまで、常に何かしらの目標を立てていました。

 子どもの頃の私は、両親に『勉強を頑張りなさい』と言われて育ちました。両親が子どもの頃のモンゴルは社会主義の時代で、勉強に専念できる環境ではなかったそうです。そのため子どもたちには勉強をさせたいという思いでいてくれたのでしょう。私自身は勉強が好きだったわけではありませんが、数学は得意でした。だから『数学の大会でメダルを獲ったら、両親は喜んでくれるんじゃないか』と、目標を立て、ウランバートルで開かれた数学オリンピックで何度かメダルを獲得することができました」

宮城野親方(元横綱旭富士・右)から部屋を受け継いだ ©共同通信社

強い人たちが近くにいると自然と自分が引っ張られていく

 しかし、同じクラスには大会で金・銀メダルを獲るナンバーワンとツーがいたため、常にナンバー3争いだったという。

「強い人たちが近くにいると自然と自分が引っ張られていくもの。彼らに影響されるように勉強し、小学3年生と高校2年生の時には、飛び級で進学することができました。

 その点は相撲も同じで、関取たちの姿を間近で見て育つ若い子たちもまた、彼らを目標にして強くなっていく。先代や兄弟子たちが積み重ねて作ってきた伊勢ヶ濱部屋ならではの雰囲気と環境は、絶やすことなく守っていきたいです」

稽古では指導に熱が入る ©時事通信社

 伊勢ヶ濱親方が自身の大怪我からの復活劇や、新しい部屋の構想を語った「あきらめないで本当によかった」は、8月8日発売の「文藝春秋」9月号で8ページにわたり掲載される(「文藝春秋」のウェブメディア「文藝春秋PLUS」でも公開中)。

文藝春秋

この記事の全文は「文藝春秋PLUS」で購読できます
あきらめないで本当によかった

出典元

文藝春秋

【文藝春秋 目次】大座談会 保阪正康 新浪剛史 楠木建 麻田雅文 千々和泰明/日本のいちばん長い日/芥川賞発表/日枝久 独占告白10時間/中島達「国債格下げに気を付けろ」

2025年9月号

2025年8月8日 発売

1800円(税込)

Amazonで購入する 目次を見る
次のページ 写真ページはこちら