「これはおかしいぞ」パートナーとの些細なケンカで涙が止まらなくなり…

――どのような状況で発症したのですか?

橋本 もともと適応障害と診断されていて、しばらく病院に通院していたんです。ある日、病院に行く前に地下鉄に乗っていたら、急に過呼吸が起こって、パニック状態になってしまって。

 一緒にいた当時のパートナーに支えられて何とか病院に着いたんですけど、会話もできないような状態で。落ち着くまで別室に連れていかれて、その後、精神科の先生からパニック障害、解離性障害と診断されました。

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――それ以前に、適応障害になっていたのですね。

橋本 パートナーとの些細なケンカがきっかけで、涙が止まらなくなって。食欲もなく、生きる気力もない、みたいな状態になってしまったんです。「これはおかしいぞ」と思って病院にいったら、適応障害と診断されて。その後、診断名がうつ病に変わりました。

 適応障害になったときはまだ「性的虐待」という言葉と出会ってなくて、自分の過去に蓋をしているときだったんですけど。きっと痛みや傷が蓄積されて、心が壊れる寸前だったのかなと思います。

 

「気が付いたら、病院のベッドだった」家の中で自殺を図ろうとしたことも…

――パニック障害や解離性障害と診断されてから、心身はどのような状態でしたか。

橋本 外出しているときは、街や人のにおい、景色や太陽の光がトリガーになって、パニック状態に陥ってしまうんです。動悸がして冷や汗をかいて、立っていられなくなってしまう。そのときに、おじさんから受けた行為がフラッシュバックすることもあります。

 家の中でパニック症状が出ると、そこから解離につながってしまうときもあって。強いストレスがかかっているから、そのストレスから自分を守るために、心と体を切り離してしまうのかなと。なぜか、解離するのは家の中だけなんですよね。

――過去に2度、家の中で自殺を図ろうとしたそうですね。

橋本 1度目はパニック症状が出ていて、その前に飲酒もしていたので、正常な判断ができない状態でオーバードーズをしてしまいました。

 2度目は解離しているときで、私の記憶はほとんどないんですけど、部屋のベランダで首を吊ってしまったんです。パートナーが見つけて助けてくれたので、何とか一命を取り留めました。意識も薄れていたのですが、私を抱きかかえてくれたパートナーの心音だけは覚えていて。

 気が付いたときには、病院のベッドで天井を見つめていました。

撮影=山元茂樹/文藝春秋

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