目黒区からやってきたという2人の子供を連れた30代の夫婦がいた。会社員の夫は、「もうすぐ9歳になるの!」と屈託ない笑顔で話す長女を肩に乗せて、専業主婦の妻はいたずら好きの5歳になる長男を抱っこして集会に参加した。最初に支持したのは、大胆な教育政策に惹きつけられた妻だった。
「たまたまユーチューブに上がってきた熱のこもった神谷さんの演説に引き込まれたのがきっかけです。神谷さんの言う『月10万円の教育給付金』があれば、子供たちが欲しがっている3人目の子育てができるかも、と思って支持を決めました」
「普通の人々」を掴んだ
「この子たちの未来を考えた」という彼女は、参政党が掴んだ新しい現役世代の支持層を象徴している。彼らにとって「日本人」とは、自分や同世代の友人、そして子供だ。
実際のところ演説では、外国人問題や医療問題に対する拍手よりも、消費減税や教育問題でのそれの方が総じて大きい。そこには「主義」らしい筋論や具体的な「政策」らしきものは何もない。しかし参政党なりの国家観を語り、生活に苦しむ日本人に寄り添う主張には、「それでも日本は大丈夫なのだ」という安心感と独特の高揚感がある。
〈この続きでは、参政党が躍進した理由を3つの観点から分析します〉
※本記事の全文(約8800字)は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」と「文藝春秋」2025年9月号に掲載されています(石戸諭「参政党と日本人ファーストのカラクリ」)。全文では下記の内容をお読みいただけます。
テレビ出演が最後のピース
神谷が「ぜひ一緒にやろう」
自己啓発セミナーを主催
サンマルクカフェで立ち上げ
「帯状疱疹が出て……」
「エモい」スローガン
ウケが良かった代替案
参政党の今後は
出典元
【文藝春秋 目次】大座談会 保阪正康 新浪剛史 楠木建 麻田雅文 千々和泰明/日本のいちばん長い日/芥川賞発表/日枝久 独占告白10時間/中島達「国債格下げに気を付けろ」
2025年9月号
2025年8月8日 発売
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