今もやまない新宿歌舞伎町の「たちんぼ」問題。なぜ若い女性たちは、自ら客を取り、春を売るのか? ここではホストとヤクザのような男によって、たちんぼになった21歳女性(※取材当時)のケースを紹介。彼女が19歳のときに「売春」を始めた理由とは? 2022年夏ごろから増え始めた10代後半から20代前半の街娼たちの実情を、ノンフィクションライターの高木瑞穂氏の『ルポ 新宿歌舞伎町 路上売春』(鉄人社)のダイジェスト版よりお届けする。

歌舞伎町で街娼として働く梨花(仮名、21歳)さん。彼女が現在に至るまでの過去を追った(写真:筆者提供)

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「もともと私は病気と障害を持っている」

 ホストクラブには「売り掛け」と呼ばれる制度がある。飲食代金を後日支払うという制度だが、本来は返済能力がある客に対するサービスであったものが、現在は「半強制的な借金」としてホストと客の間で横行している。この仕組みによって、意図せず売り掛けをしてしまい、学生やOLから風俗業界へと転じる女性も少なくない。

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 このような状況にあるのが21歳の街娼・梨花(仮名)だ。彼女は、幼い顔立ちで体は肉感的な金髪の女性で、約半年前にホストにハマり売り掛けをしてしまい、借金返済のために歌舞伎町で街娼として働くようになった。

「もともと私は病気と障害を持っている」と梨花は話す。彼女は若干の斜視と軽度の知的障害があり、小学2年生からは特別支援学級で学校生活を送っていた。高校も特別支援学校に通っていたが、ほとんど出席していなかったという。

 梨花がホストの世界に足を踏み入れたのは、19歳の頃だった。出会いカフェでの売春を覚えていた彼女は、マッチングアプリで知り合った男性と交際するようになる。その男性が「たまたま売れないホスト」だったと梨花は言う。

「『シャンパンおろして』って言われて、『出稼ぎで稼いでからだったらいいよ』って断った。なのに『イベントだから頼む』って、強引にシャンパンを入れさせられた」

 こうして梨花は60万円の高級シャンパンを売り掛けでおろすハメになった。そして彼女はその後、支払いから逃れるために名古屋へ逃げたが、ホストの人脈を通じて拉致されてしまう。

「裏を使って拉致られた」と梨花は語る。「"裏"って?」と尋ねると、「ヤクザみたいな人です。で、出稼ぎで稼いだ35万円と、これ以上逃げられないようにスマホとカバンも没収、みたいな。ホストはそこまでやるんだよ」

 東京に戻された梨花は、残りの25万円の借金返済のために歌舞伎町で街娼として働き始めた。「多い日で4人とか5人とか。(売値は)1(万円)とかイチゴー(1万5千円)とか」と話す彼女は、現在はインターネットカフェを住処としながら、日々の生活を続けている。

「仕事って割り切ってやってる」という梨花。今後についての質問には「うーん、デリヘルとかで働くことも考えてはいるよ」と答えた。

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