広陵側は、15年9月の件に関して「A氏が集団暴行に遭った事実はなく、部室の鉄製のドアで頭を打った偶発的な事故」と完全否定し、「週刊文春」の取材に対する回答も公開した。だが今回、Aさんと同期だった野球部OBの1人が、新たに口を開く。
「表向きはドアに頭を打った事故になっていました」
「Aは特定の上級生からイジメのターゲットにされていました。退院して車椅子姿で寮に戻ってきた時、『本当は●●さんにシバかれた』とは聞いていました。部員はみな、Aが先輩にやられたという認識を持っていたと思います。でも、表向きはドアに頭を打った事故になっていましたし、中井監督も『Aは大袈裟や』と言っていましたから、被害者のAの方が部内での立場が弱くなっていました」
さらに、病室で弟の苦悩を見抜いたAさんの実兄も、こう証言する。
「確かに弟は、当初『ドアにぶつかった』と話していました。でも、単なる事故には思えなかった。同じ高校野球を経験した身として、新チームになったばかりの時期で、広陵で野球を続けたいと思っている弟が、真相を隠したい気持ちも理解できる。2人きりになった時、何気なく『本当は何があった?』と聞いてみたんです。すると弟はようやく、『先輩からやられた』と話してくれた。時折、涙ぐんでいたのを覚えています」
取材を続けると「週刊文春」にはAさん以外にも、広陵野球部OBのDさん、Eさん、Fさんらが続々と証言。別稿(広陵元野球部員が怒りの連続告白「集団暴行は日常でした」《元教員は「野球部にモノは言えない」》)で紹介した。そのうちFさんがあらためて証言する――。
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Fさんが改めて証言した、常態化していた広陵高校の暴力支配とは? 第1弾記事では、Aさんの告白全文を掲載。第2弾記事では、広陵の声明を受け、AさんとAさんの父親が発したコメントや元教員の激白など暴力問題を総力取材した結果、第3弾記事では、“中井親子退任”後も止まらない部内暴力告発について掲載している。
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