奈良県の北東端、三重県との県境に位置する山添村は、神野山を流れる木津川沿いに集落が点在する。緑あふれる土地柄、農林業を主な産業とし、薫り高い大和茶が名産だ。縄文時代の土器や石器も数多く出土するこの村には、30年ほど前まで土葬の慣習が続くなど、古くからの社会風俗が色濃く残る。

奈良県の北東端に位置する(山添村HPより)

“手かざし村”になってしまうんじゃないか

 風光明媚なこの村は、地方自治体としては危機に晒されている。人口は3,000人を切り、2024年には民間の人口戦略会議で消滅可能性自治体の一つに指定された。

 8月初め、村長・村議会選挙を目前に控えた山添村議会では、ある一つの問題が浮かび上がっていた。

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 山添村関係者が語る。

「実は、ある宗教イベントに対し、公金が拠出されたことが発覚したのです。イベントでは“浄霊”を目的にした“手かざし”が行われていた。拠出を決めた野村栄作村長自身がこの宗教の信者だという噂があり、村民からは『このままでは“手かざし村”になってしまうんじゃないか』と危惧する声も聞かれています」

山添村役場 Ⓒ文藝春秋

 “手かざし”が問題となったイベントは、24年10月に村で開催された「グリーンライフフードフェスタ in 奈良」。きっかけは、イベントの内幕がYouTubeチャンネル「秀明自然農法チャンネル」に掲載されたことだった。

村が事業補助金10万円を拠出

 奈良県政の関係者が明かす。

「問題の動画は、イベントの企画委員長を務める村長の娘・Aさんを『日本の“限界集落”の課題に立ち向かう若きリーダー』として密着したドキュメンタリー風の4部作。会場で“手かざし”が行われていたことや、村からこのイベントに事業補助金10万円が拠出されていることも、この動画からわかったのです」

2024年には”限界集落”に指定された。「週刊文春 電子版」では4000文字超のリポート記事を掲載中 Ⓒ文藝春秋

 一体、何が起きているのか。「週刊文春」記者は実態を探るべく、山添村に向かった。すると、高市早苗氏が応援演説に訪れ……。背景にある宗教団体、村長を知る関係者、村長本人への直撃など総力取材した結果は、現在配信中の「週刊文春 電子版」で読むことができる。

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