去年の総裁選で、決選投票の土壇場で高市氏支持に回ったのも、「石破憎し」の一心からだった。参院選後に表面化した石破降ろしの局面でも、旧安倍派の裏金関係議員たち以上に執念を燃やした。
自民党内に唯一残った派閥を総動員して、石破首相の引きずり降ろす麻生氏の姿は、老いの一徹というのか妄執というのか、「ドン引きしてしまう」という自民党若手もいたほどだ。この先、自民党内で麻生氏が影響力を維持できるかも不透明と言わざるを得ない。
高市早苗氏「心はとっくに決めている」
そして前回の総裁選では麻生氏に支持された高市早苗氏。総裁選があるかないかはっきりしない時期から、「心はとっくに決めている」と満々たる意欲を示している。
去年の総裁選去年の総裁選では、党員投票でトップをとり、決選投票で石破氏に僅差で敗れている。従来の総裁選なら、ライバルの石破氏が失脚した以上、高市氏が最有力であるはずだ。世論調査でも「次の首相候補」の常に上位を走り続けてきた。だが、自民党内では、高市氏の総裁就任には疑問を呈する議員が少なくない。
石破氏が選挙敗北の責任を認めて、すぐに辞任に踏み切らなかったのは、「石破頑張れ」という世論の盛り上がりがあったことも一因だ。その背景には、「選挙の敗因をつくった旧安倍派の裏金議員たちが石破首相の足を引っ張っている」という世論の批判があったことは間違いない。
高市氏は裏金とは関わっていないが、高市氏を推した議員に裏金問題に関わった議員が多かったことも事実だ。去年の総裁選で高市氏に推薦人になった20人のうち9人が落選したり引退したりして支持勢力も減っている。
高市支持層に起きている変化
裏金問題にけじめをつけられないままズルズルときたことが、衆院と東京都議選に続いて参院選も惨敗した最大の要因だ。当然、最終的な責任は石破首相ら党執行部が負うべきだが、凝りもせずに党内での主導権を取り戻そうとした勢力にも責任がある。それを多くの国民も感じているのだ。