いつの時代でも聞かれる、年長者たちによる「最近の若者は……」という声。例えば「若者は性に奔放」「人付き合いに消極的」といった“定説”は本当に正しいのか。
博報堂が実施した調査データを基に、Z世代とその親世代を分析した書籍『Z家族 データが示す「若者と親」の近すぎる関係』(光文社)から一部抜粋し、お届けする。(全3回の1回目/続きを読む)
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若者よりも中高年の方が「社員旅行」に行きたくない
飲み会を避ける、ひとりスマホに没頭する、ゲーム漬けの毎日を送っている、ひとりディズニーが話題になる……。最近の若者に対し、群れずに個で行動するイメージを持つ方も多いでしょう。
しかし、「変わらない」若者像でご紹介したように、「仲間と行動することが多い」「仲間の溜まり場がある」「自分は誰とでも友達になれる方だ」といった項目について、19~22歳の回答は30年間で若干の減少は見られるものの、大きくは変化していません。さらに「人づきあいは濃密な方だ」と答えた人の割合は、1994年には23.5%でしたが、2024年には39.7%に大幅に増加。決して、仲間との関係性が希薄になっているわけではなさそうです。
「そうはいっても、会社の若者は付き合いに消極的だが?」と疑問に感じる方もいるでしょう。「社員旅行にはできれば行きたくない」と答えた若者の割合は、41.5%→51.0%と10ポイント近く増えているのも事実です。
では、この設問に49~52歳はどのように回答したのでしょうか。
若者に苦言を呈するくらいだからみなさん参加したいのかと思いきや、「できれば行きたくない」と答えた人の割合は62.0%。なんと、若者層よりも10ポイント以上高かったのです。人間関係を敬遠しているのは、若者よりもむしろ中高年なのではないか─そんな見方もできる結果となりました。とはいえ現実的には、共働きの家庭も増えていますし、子育て中の世代ほど家を空けてなどいられない、という事情もありそうです。

