「ジョージは絶対にそんなことはしない」

「妻に疑惑がかかっていると知らされるのは衝撃であるはずなのに、その時ですら彼の感情は読めない。ジョージが料理と釣りを愛するのは、ひとりでできるからだ。彼は人生のどの部分においてもきっちりと整理整頓をして秩序を保つ。妻は服を脱ぎ散らかしたりするけれども、ジョージは絶対にそんなことはしない。他人の言葉にリアクションもしない。そういったことは全部脚本にあった。それ以上のことは、あまり考えないようにしたよ。脚本を繰り返し読みつつ、頭の中で想像を膨らませて現場に入り、衣装を着ると、すべてが重なり合い、自然に形になっていった」

© 2025 Focus Features, LLC. All Rights Reserved.

 最も醍醐味があったのは、全員がテーブルを囲むディナーのシーンだ。12ページあるそのシーンはほぼカメラ1台でとらえられた。今作で唯一、リハーサルが行われたシーンでもある。

「6人が座っている状態で、どう緊張感を保ちつつビジュアル的に面白くするのか。スティーヴンにとっては難しいパズルだったんだ。『あのシーンを考えると眠れない』とまで言っていたよ。全員が揃うのはあそこしかないし、考えてみたら当然だよね」

ADVERTISEMENT

© 2025 Focus Features, LLC. All Rights Reserved.

 その結果には満足な様子。ファスベンダーとソダーバーグのコラボレーションは、これからも期待できるのでは。

マイケル・ファスベンダー 1977年、ドイツ・ハイデルベルク生まれ。『300 〈スリーハンドレッド〉』(06年)で映画デビュー。『SHAME -シェイム-』(11年)でベネチア国際映画祭男優賞を受賞して以降、『それでも夜は明ける』(13年)、『スティーブ・ジョブズ』(15年)などで各賞にノミネートされ、賞レースの常連俳優に。

INTRODUCTION

パルムドール受賞の『セックスと噓とビデオテープ』(89年)、「オーシャンズ」シリーズなど多彩なジャンルを手がけてきたスティーヴン・ソダーバーグ監督の最新作。ヒットメーカーの脚本家、デヴィッド・コープと3度目のタッグを組み、二重スパイを巡るスリリングなサスペンスを作った。マイケル・ファスベンダー、ケイト・ブランシェット、ピアース・ブロスナンら、豪華キャストが結集した。

 

STORY

英国NCSC(国家サイバーセキュリティセンター)諜報員のジョージ(ファスベンダー)に、“ブラックバッグ”(極秘任務、違法捜査)が課せられた。不正プログラム「セヴェルス」を盗み出した、組織内の二重スパイを探し出すことだ。容疑者は諜報員のフレディ(トム・バーク)とジミー(レゲ=ジャン・ペイジ)、情報分析官のクラリサ(マリサ・アベラ)、局内カウンセラーのゾーイ(ナオミ・ハリス)、そしてジョージの愛妻で同じく諜報員のキャスリン(ブランシェット)。裏切り者を見つけ出すため、ジョージは全員をディナーに招待、ある“ゲーム”を仕掛ける。

 

STAFF & CAST

監督:スティーヴン・ソダーバーグ/脚本・製作総指揮:デヴィッド・コープ/出演:ケイト・ブランシェット、マイケル・ファスベンダー、マリサ・アベラ、トム・バーク、ナオミ・ハリス、レゲ=ジャン・ペイジ、ピアース・ブロスナン/2025年/アメリカ/94分/配給:パルコ、ユニバーサル映画/© 2025 Focus Features, LLC. All Rights Reserved.

次のページ 写真ページはこちら