「家族に心配させまいとA子が言わなかったので直後にはわからなかったんですが、爪の中に内出血があるのを私が発見しました。『どうしたの?』と聞いたら、『B子が私を抱き上げて、まっすぐ立たせた状態でトイレに連れて行って、便座に座らせようとしてきた』と。娘が『嫌じゃけえ』とトイレの個室から出ようとしたら、外から押されて、指が個室のドアのネジがあるところに挟まって内出血ができたと言うんです」

母親がA子さんの手に見つけた痛々しい内出血の跡

 内出血なので血こそ出なかったが痛みは強く、A子さんは給食の配膳時間に担任に出来事を伝えたが「あとでね」と言われただけだったという。

 2年生の末期になるといじめはエスカレートし、「なわとびで叩かれる」「うしろから押される」「『あんたのことが嫌い』『声がきもちわるい』と言われる」など直接的な加害も増えてきた。

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 この頃にはさすがに母親もA子さんがいじめられていると認識し、学校にも対応を求めるようになった。

「B子の親は同じ地域の小学校で養護教諭をしているので、教員同士の遠慮でB子の行動について強く注意しにくいのかもしれないとは疑っていました。それでもA子へのいじめはエスカレートしていたし、B子は大柄でA子との体格差も大きいので、どんな怪我につながるかわからないと不安を学校に伝えました」

「誰か食べさせてあげて」と言うと、A子さんの口を手で無理やり開け…

 ただし、少人数の小学校のためクラス替えなどの措置は取られなかった。そして4年生が始まってすぐの4月、給食の時間に事件は起きた。

小食なA子さんは給食を時間内に食べ終われることが少なく、完食できた日には日記に書くほど喜んでいた

 後に調査委員会が作成した報告書によると、時間内に給食を食べきれず休憩時間になっても食事を続けていたA子さんに同級生の女子3人が近づいてきたという。A子さんは「6人に囲まれた」と訴えたが、認められたのは3人だけだった。

 そのうちの1人がA子さんに対して「早く食べないといけないよ」「誰か口を開けて食べさせてあげて」と言うと、B子がA子さんの口を手で無理やり開け、さらにもう1人がスプーンで豆腐料理をすくって流し込もうとした。

 A子さんが「やめて!」と叫んで抵抗すると、3人は離れていったという。

「廊下から大人が歩くスリッパの音が聞こえて、3人がぱっと離れたとA子は言っていました。担任の先生は休憩時間だったので教室におらず、周りには数名の女子がいただけだったようです」

次の記事に続く 夜になると「来ないで!」と泣き、体重は11.9キロに激減…「給食いじめ」が小4女子に残した“深すぎる傷跡”とは