広島県尾道市の公立小学校に通っていた女子児童A子さん(当時4年生)が、同級生から無理やり給食を食べさせられ、心痛から不登校となり「適応障害」と診断された。A子さんは2年生の頃から継続的にいじめのターゲットにされており、その状況に学校が対応できずにいる中で起きた事件だった。(全2本の1本目)

いじめが原因で不登校に追い込まれたA子さんは同級生と比べてもかなり小柄だった(中央)

 A子さんが受けた苛烈ないじめと苦痛について、母親に話を聞くことができた。

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 被害を受けたA子さんはもともと低身長症で、事件があった4年生当時、身長115センチ、体重は16キロだった。文部科学省の統計によると小学4年生女子の平均身長は134センチ前後、平均体重は30.5キロ。つまりA子さんの身長は平均より20センチ小さく1年生の女子とほぼ同じ、体重は平均の半分で幼稚園児よりも軽いことになる。

赤紫に変色して内出血していたA子さんの右手の中指

 体格差が背景にあるいじめがはじまったきっかけは、A子さんが小学2年生の時にB子が転校してきたことだった。

「2年生の頃からA子は『B子がじーっと見てくる』『すれ違いざまに、“ちび”とか“ばか”とか言ってくる』と訴えるようになりました。ただ当時の私はそれをいじめだとわからず、『あんたも言い返しなさい』『“でか”と言い返してやれ』と伝えてしまっていました。あの時もっと真剣に話を聞いてあげていたら事態は悪化しなかったのではないかと、後悔しています」

A子さんの母親

 A子さんがいじめを受けているとは思っていなかったが、母親は日々の出来事をメモに残し始めた。そのメモには「小2夏以降」の欄に、「じっとにらまれる」「『おまえ』と呼ぶ」「すれちがうときに『ちーび』や『ばーか』と言われる」などと書かれている。

 そんなある日、A子さんの右手の中指が赤紫に変色をしていることに母親が気がついた。爪の中に内出血があったという。