普通の会社員が張り込みや潜入取材をしているなんて

大崎: 実は、この小説を書く前に、『週刊文春』編集部に取材に伺ったんですよ。そこで、『週刊文春』は、文藝春秋に勤める普通の会社員が作っているということを知って本当に驚きました。週刊誌というものは、社外の、それも何ヶ月潜伏取材をしても平気だというようなベテラン記者が集まって作っているのだろうと思っていたので。

奥山: そうですよね。私も今回、役作りのために『週刊文春』のデスクの方にお話を伺いに行ったのですが、すごく素敵な女性が出てこられてびっくりしました。大崎先生と同じように、週刊誌の記者はゴリゴリとした屈強な方が多いのかなと思っていたんです。だから、「こんなに普通に見える方が、あのインパクトのある雑誌を作っているのか」ということがとても新鮮で、印象的でした。

大崎: 普通の会社員人生において、張り込みとか潜入取材なんてしないですよね。ごく一般的な大学生だったのに、出版社に入って週刊誌の編集部に配属になった途端、いきなりそんな仕事をするなんて大変だなと思いました。ただ、そういう驚いたことや面白いなと感じたことをそのまま書けば良かったので、題材的には書いていて楽しかったです。

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©︎橋本篤/文藝春秋

自分が演者として関わることで、何かしら作品のプラスになるものを

――お二人が対面されるのは今日で2回目とのこと。1回目は大崎さんが撮影を見学しに行かれた時でした。大崎さん、奥山さん演じる日向子を見て、どのような印象を持たれましたか?

大崎:原作の日向子は、どちらかと言うと「冴えない女の子」として書いてしまったのですが、奥山さんが演じてくださる日向子は、すごく可愛らしくて。けれど、ちゃんと「日向子」になっているので、さすが女優さんだと思いました。

奥山:ありがとうございます! すごく嬉しいです。先生がご覧になっている中で撮影するのは緊張したので……。

大崎:緊張されましたか?

左から奥山葵さん、大倉空人さん©「スクープのたまご」製作委員会

奥山:はい、とても(笑)。原作を読んで自分なりの「日向子」を演じるわけですが、それが先生の創り上げた日向子像と合っているか心配でした。私自身、本が好きなので、原作の世界観は大切にしたいと思っていました。先生が命を削って書かれた物語を映像化するにあたって、それを損なうようなことがあってはならないし、私がその世界に加わることで、何かしらプラスになるものを提供しなければというプレッシャーは確かに感じています。

大崎:ありがとうございます。奥山さんが原作を大切に読んでくださって、とても嬉しかったです。私は、ドラマにはドラマの魅力や独自の解釈があると思っていて。日向子をはじめ、自分が生み出したキャラクターたちが動いている姿を見るのは、原作者として本当に感動的な瞬間でした。

©︎橋本篤/文藝春秋

 ヘアメイク 山口恵美
スタイリング 濱田恵(mugico.)
衣装 mizuiro ind
ヘアメイク 山口恵美
撮影 橋本 篤/文藝春秋

 

©「スクープのたまご」製作委員会

INFORMATION

ドラマストリーム「スクープのたまご」

主演 奥山葵

TBS系
毎週火曜 深夜0:58~ 放送中
※一部地域をのぞく。放送時間変更の場合あり
NETFLIXにて第1話~最新話まで全話配信中

HP:https://www.tbs.co.jp/scoopnotamago_tbs/
TVer:https://tver.jp/series/srrmp728su

スクープのたまご1 (BUNCOMI)

大崎 梢 ,市丸 いろは

文藝春秋

2025年9月16日 発売

次の記事に続く 「最初は日向子にスクープを取ってほしくなかった」週刊誌の世界で見つけた新しい自分