「日本語は通じるのですが…」相手の保護者に感じた違和感
A子の両親が外国籍であることについても、宇佐美さんはコミュニケーションの困難さを感じたという。
「日本語は通じるのですが、今までは味わったことのない感覚を覚えました。周囲の目をまったく気にしないというか、自分たちの都合を中心に考えて、それを当然とするような雰囲気なんです。子どもがトラブルを起こしても『だって子どもがやりたいって言ったから仕方ない』『注意されないならルールを破ってもいい』という感覚が強く、反省の姿勢が全く見られない。これも文化の違いで仕方ないのか、と当初は理解しようとしました」
そのうち保育園から帰ってきたツムギちゃんが「嫌だと言っても聞くまで命令してくる」「保育園で禁止されているアクセサリーをつけてきて自慢してくる」と、しきりにA子の話をするなど徐々に違和感は増していった。
そして4歳だった24年4月ごろ、宇佐美さんはツムギちゃんの精神に変調を感じたという。
「娘が描く絵が急に寂しくなったんです。それまでは画用紙全体を使って楽しげな絵を描いていたのですが、せっかく描いた絵を黒く塗りつぶしたり、木と家しかない寂しい絵を描いたりするようになり、保育園で何か起きているのではと感じました」
また、同じころ、ツムギちゃんは「私はロボットになっちゃった」と頻繁に言うようになった。
「それまでほとんど聞いたことがなかった『ロボット』という単語が会話に出てくるようになり、嫌なことがあると『ロボットです、ロボットです』と機械調の声でロボットのふりをするようになりました。そのうち保育園に行く時も『ロボットになっちゃった』とロボットのふりをして行き渋るようになりました。
もっと後のことですが、いじめで一番辛い時期に娘は頭の中で『ロボットの世界』という架空の世界を作って、架空の友達の話もするようになりました。あれはおそらく、自分が嫌なことを耐えるために、ロボットとしての別の人格を作ろうとしていたのではないかと思います」
