カメラ比較:「ズーム倍率」だけならPixelの圧勝だが……

 いくつかの項目ごとに、両製品に共通する機能について、優劣を見ていきましょう。なお、以下ではとくに断りがない限り、iPhone 17 Pro Maxは「iPhone」、Google Pixel 10 Pro XLは「Pixel」と表記します。

 まずはカメラについて。超広角と広角、望遠という3つのレンズを備えているのは両者ともに同じですが、iPhoneはズームの段階が0.5/1/2/4/8倍(デジタルでは最大40倍)、Pixelは0.5/1/2/5/10倍(デジタルでは最大100倍)となっています。

 単純に倍率だけで見るとPixelの圧勝、と言いたいところなのですが、デジタルズームは光学望遠で見えないディテールをAIが推測して補正するため、必ずしもありのまま描写されるわけではありません。また絵作りについても大きな差が出がちです。

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 ざっと試した限りでは、iPhoneはディテールが省略されてのっぺりとした絵になる傾向がある反面、PixelではiPhoneより高倍率であっても細かいディテールを保持できています。

左がiPhone、右がPixel。この画角(0.5倍)であれば見え方はほぼ同じです
デジタルズームも併用した最大倍率での比較。iPhone(40倍、左)は、全体が不自然にのっぺりしているのに対して、Pixel(100倍、右)はより高倍率にもかかわらず、石やタイルの汚れなどのディテールを驚くほど細かく表現できています

 これだけ見るとPixelが遠景を撮るのに向いているように感じますが、その遠景に標識や看板などの文字情報が混じり込んでくると、話が変わってきます。

 iPhoneの場合、倍率が高すぎて読み取れない場合、誤魔化すことなく、いかにも従来のデジタルズームといったノイズ混じりの絵を出してくるのですが、Pixelは過剰に補正がかかり、事実と異なるばかりか、世の中に存在しない文字が出現してしまうことがあります。

写真の中央赤丸内にある交差点の看板を拡大していきます
iPhone(左)が、いかにもデジタルズームらしい絵面なのに対して、Pixel(右)は必要以上の補正が働き、本来とは異なる文字へと形を変えてしまっています
同じ看板を至近距離から撮影したのがこちら。前述のPixelのデジタルズームでは、元画像にない要素が加わっているのが分かります

 筆者は、スマホで10倍を超える望遠機能は「現在の技術を用いればこんなこともできる」という、メーカーのアピール程度に受け取っておくのが正しいと考えています。iPhoneは画質的に無理がある反面、フェイクにならない範囲で踏みとどまっているのに対して、Pixelは悪い意味で本物との見分けがつかなくなってきており、少々気持ち悪さも感じます。

 現時点ではまだ「4~5倍までは光学ズームなので使うが、それ以上は使わないようにする」といった具合に、倍率で使い分けるのが有効ですが、今後どうなるかは分かりません。完全にボーダーレスになるとこれはこれで厄介で、ユーザとしては今後の機種についても注意したほうがよいかもしれません。