ワイヤレス充電:ようやく、PixelがiPhoneに追いついたものの……

 これまでのiPhoneシリーズとGoogle Pixelシリーズには、背面に搭載するワイヤレス充電機能において、大きな違いがありました。

 iPhoneシリーズはマグネットで充電器を吸着できるのに対し、Google Pixelシリーズは手動の位置合わせが必要で、何かの拍子に位置がずれ、充電が失敗することがたびたびありました。Google Pixelを所有していても、ワイヤレス充電はほとんど使っていなかった人も多いのではないでしょうか。

 今回のPixelでは、iPhoneと同じくマグネットによる吸着機構を搭載し、iPhone用のMagSafe充電器を使えるようになりました。充電器に限らず、さまざまなMagSafeアクセサリも吸着できるようになり、利用の幅が一気に広がっています。この部分では「PixelがiPhoneに追いついた」と言って差し支えないでしょう。

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Google Pixel 10シリーズではiPhone用のMagSafe充電器(中央)がそのまま使えます

 ただし実機で試してみると、吸着力はiPhoneほどではなく、引っ張った時に分離しやすい傾向があります。位置合わせにしか使わない据え置きタイプであればまだしも、スタンドタイプだと吸着させたままスマホを宙に浮かせなくてはいけないため、厚みのある保護ケースを付けて重量が増していると、少なからず落下の危険があります。これについてはまだ改善の余地がありそうです。

iPhoneには磁力によってかなり強力に吸着しますが……
Pixelはやや吸着力が弱く、引っ張って持ち上げると外れそうになることもしばしば

持ちやすさ:総合的にPixelが優勢、iPhoneは厚ぼったく感じがち

 最後に、実機を手に持った場合の重量感や持ちやすさについても見ていきましょう。

 重量はiPhoneが233グラム、Pixelが232グラムと横並びですが、iPhoneは従来モデルと比べて厚みが増しており(8.25ミリ→8.75ミリ)、Pixel(8.5ミリ)に比べて、手に持った時に明らかに厚ぼったく感じられます。

左がiPhone、右がPixel。表面積はおおむね同等なのですが……
iPhoneは断面の処理のせいか見た目にも厚ぼったく、また手に持った感触も従来モデルに比べてかなり厚く感じます
一方のPixelは従来と同じく側面が垂直にカットされたシャープなデザインで、実際の厚みよりもスリムに感じられます

 たとえ厚みが増していても、ボディの形状を工夫することで体感的に薄く、また重量も軽く感じるのはよくある話ですが、本製品はそうした点にあまりこだわりはないようです。数値上はわずかな違いしかないPixelと比べても厚みがあり、より重いように感じられます。大きくゴツいスマホが苦手なユーザにとっては、このあたりはややマイナスとなるでしょう。従来モデルからの買い替えであればなおさらです。

 またiPhoneは、電源ボタンと音量ボタンという2種類のボタンに加えて、アクションボタンとカメラコントロールという2つのギミックを備えています。このうちカメラコントロールは、本体を横向きにした時にカメラのシャッターボタンの位置に来るのですが、うっかり触れて誤操作を引き起こすことが多く、便利さよりも持ちやすさに与えるマイナス面が大きく感じられます。ネットでは無効化するためのTipsが広く流通しているほどです。

iPhoneのカメラコントロールは、シャッターを切るなどの機能が使えますが、うっかり触れて意図しない挙動を引き起こすこともしばしばあります

 iPhoneは背面についても気になる点があります。

 iPhone、Pixelともにレンズ周囲部が本体から飛び出しているのですが、iPhoneはそこからさらにレンズが突出しており、デスク上など平らな面に置くとガタつきます。

iPhoneはカメラレンズが突出していることから、デスク上ではこのように斜めに傾いてしまいます
PixelはiPhoneと異なりレンズが突出しておらず、置いても傾くことがありません

 せっかくボディのデザインごと変更したにもかかわらず、こうした点に配慮されていないのは、非常にもったいなく感じます。同様にカメラ部が突出していながらガタつきのないPixelのほうが、安定性が高く、ストレスも少なめです。