まさか排泄にも障害が出るとは

 話を急ぎ過ぎました。少し時間を戻しましょう。

 母の認知症に気づいたのは、次の会社を探してハローワーク求人を見に行って、何の成果もないまま家に帰ってきたときです。

 コタツに入ろうとした途端、何か異様な臭いにさいなまれました。

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〈この変な臭い、どこからくるんだろう…〉

 原因はすぐにわかりました。僕が帰る前からコタツに入って横になっていた母がこともあろうか失禁していたのです。

 母に、「どうしたの? 漏らしちゃったの?」と尋ねても何も答えず、横になったままで動こうともしません。

 とにかく母を風呂場に連れていき、服を脱がせてシャワーで洗い流し、たっぷりのボディーソープで体を洗います。コタツの敷布団を取り替えて、着替えを終えた母をベッドに連れていきました。

写真はイメージ ©getty

 翌日、昨日のことがあったから母のベッドに行き、掛け布団をめくると、予測はしていたのですが、案の定また失禁していました。

「お母さん、どうしちゃったの?」「尿意とか便意とかわからなくなっちゃったの?」と聞いても、「わかんねぇ、わかんねぇ」を繰り返すだけでした。

 これはボケてる。

 認知症だとその時初めて僕は確信しました。

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