日本をみれば、平成の時代が始まってからかな、上皇と今上天皇の橋渡しの仕方を見ていても、政治のやり方はとっても無責任でしょう。それをさせてしまうマスコミだって悪い。いま、とても危ぶまれる状態になりつつあるのが、戦争を知らない、何を知らない、大震災の被害が戦争以上に怖いものだと口にしてしまう日本人だよ。本当の戦争を知らない。戦争の意味合いを。
人間が人間を駄目にする
大震災も、大変な被害だよ。でも相手は自然。いつかは終わってくれるし、どうにか復旧することもできるだろう。ところが、戦争というのは人間が人間を駄目にする。人間が人間に爪を立てる。
俺なんかは、多摩川の土手で遊んでいたら、機銃掃射で戦闘機がすぐ側をババババッと撃って通り過ぎて行ったこともあった。振り返ったら、3人ばかりが多摩川に浮かんでいた。殺された人間は、理由もわからず死んでいった。
われわれは戦中派だから、戦争がどれだけ大変なことかは身に沁みている。人間と人間が殺し合う、あんな酷いことはない。だから、やっちゃいけないことなんだよ。人間という動物の生きてきた歴史を振り返れば、自然界のトラだ、ライオンだという連中に比べて、上等でもなければ、どこかでなにか間違えたんじゃないかという気さえする。
※本記事の全文(約7000字)は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」と「文藝春秋」2025年11月号に掲載されています(小林旭「最近はアメリカについて考えているよ」)。全文では下記の内容をお読みいただけます。
・赤フン部隊で泳ぎ回った
・アクションの礎は柔道にあり
・「暴力は知恵の行き詰まり」
・いつだって、これが最後
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