ギャル雑誌『egg』の専属モデルとして活動しながら、多い時には週に6日、建物の内装を仕上げる「クロス屋さん」で働いているらんさん(17)。もんじゃ焼き店でもアルバイトをこなし、毎月10万円ほどを実家に入れているという。

 らんさんはギャルだった母の影響を受けて小学2年生でギャルに目覚め、金髪に染めてメイクも始めた。中学生で『egg』専属モデルの座を勝ち取ると、高校進学をせずモデルと職人を兼業する道へ進むことに。一般的なギャルのイメージとは異なる、規則正しくハードに働きまくる彼女の日常を聞いた。

『egg』専属モデルと現場仕事、さらに飲食店でのアルバイトとトリプルワークをしているらんさん ©平松市聖/文藝春秋

5時起き、22時就寝の「規則正しい真面目ギャル」

「クロス屋さんの仕事がある日は、遅くても朝5時には起きています」

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 らんさんの1日は早くから始まる。6時半には家を出て、帰宅は19時頃。夕飯と入浴を済ませて22時には就寝だ。職人の世界を選んだ理由について、らんさんは「外見や年齢、経歴じゃなくて『仕事』で評価していただけるイメージがあった」と語る。実際に服装や髪型は自由で、モデルの撮影があるときは休みももらえる。

 初出勤の日、ピンクと青のツートンカラーの髪だったらんさんは周りから「こいつ大丈夫かな?」「本当にこの仕事できるの?」と思われたそうだ。しかし2年以上経った今では「ここは任せたぞ」と言われる場面も増えてきた。

男性社会で働く中、苦労していることは?

 20人ほどの社員がいる職場で、女性の職人はらんさんだけ。男性社会だからこその大変さを感じる場面について聞くと、「現場に女子トイレが少ないこと」と答えた。

「クーラーが付いていない現場がほとんどなので、夏場は特に困ります。暑いからたくさん水分をとらなきゃいけないのに、とりすぎるとトイレに行きたくなるから、どうしようって」

 ギャルらしい長いネイルは、面接時に「短くしてほしい」と言われた。最初は地爪を少し伸ばす程度にしていたが、それを少しずつ伸ばしながら仕事に支障がないことを確認して、今では3枚分ほどのネイルチップの長さで出勤することもある。仕事中に折れることもあるが、次の付け替えまで我慢するか、瞬間接着剤でくっつけてしのいでいる。

取材した日のネイルは「1.5枚」。多い時には、この倍の長さで現場仕事に出ることもある ©平松市聖/文藝春秋

小2で金髪、中学では不登校になっても、親は応援してくれた

「完全オフの日」は月に1日あるかどうか。そこまでして働く理由を聞くと「ギャルモデルのトップになる夢を叶えたいから」とともに「親に恩返しをしたい」とも話す。

 小学2年生で金髪に染め、中学生の後半はほとんど学校に行かなくなった。しかし両親は一度もらんさんのやりたいことを否定しなかった。母は運動や食事でサポートしてくれたし、父は不登校になったとき「娘はこういう夢を持っているんです」と学校に説明しに行ってくれた。

 その恩返しに、らんさんは稼いだお金から毎月10万円ほどを実家に入れている。夢に向かって努力する姿を見せることで、親に喜んでもらいたい。そんな思いで、17歳のギャルは今日も仕事に向かう。


 小学生で金髪に染めた際の周囲の反応や、中卒で行った就職活動のエピソードなど、らんさんのインタビュー全文、は下記よりお読みいただけます。

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