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三冠王・落合博満を生んだ村田兆治の“2球”

文春野球コラム ペナントレース2018

2018/08/26

長いロッテの歴史が本当の意味で繋がった瞬間

 東京ドームに4万3284人の大観衆が詰めかけた。レジェンド2人の姿にファンは熱狂した。そしてその魂は現役選手に伝わり、首位ライオンズに逆転勝利した。マリーンズファンが占拠したドームは異様な雰囲気が作り出されていたこともまた勝利の要因だった。敵将・辻発彦監督は試合後、開口一番で「屋根があるところでのロッテの応援はたまらんわ。ピンチでも何でもないのに、ピンチになる」と悲鳴をあげたという。それほど、ドームを覆いつくしたマリーンズファンの声量は圧倒的な迫力を生み出し、敵を圧倒していた。

 試合後、マリーンズ名物の「WE ARE」が行われた。選手とスタンドのファンが呼応して行うコール。外野だけではなく内野を巻き込んでの「WE ARE」は壮観だった。マリーンズが東京ドームで主催試合を行うのは16年以来2度目。これがホームゲームとしては初勝利だった。勝利の瞬間と歓喜するファンの姿を見届けると落合氏は満足そうな表情を浮かべ、帰路についた。

「選手には野球の一瞬一瞬に悔いを残さぬように生きてもらいたいと思います」

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 試合前のセレモニースピーチでの同氏のメッセージをマリーンズ選手たちはしっかりと胸に受け止めていた。それは長いロッテの歴史が本当の意味で繋がった瞬間だったのかもしれない。

 2年ぶりの東京ドーム開催ゲームはマサカリ投法の村田氏と神主打法の落合氏が共演する形で幕を開け、劇的勝利という形で終わり、大成功となった。プロ野球には歴史があり、それを重んじ継承していく事が大きな魅力であることを改めて感じることが出来た一日だった。2018年8月21日。それはマリーンズファンにとってメモリアルな一日となった。

32年ぶりに古巣のユニフォームに袖を通した落合博満氏 ©千葉ロッテマリーンズ

梶原紀章(千葉ロッテマリーンズ広報)

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