韓国アイドルが流行源
日本でも、実は多くの人が意外な形でMBTIの影響を受けた検査を受けてきました。
それは、多くの企業の採用選考で使われているリクルート社の就職適性検査「SPI」です。
1974年に誕生したSPIには、MBTIの設問や内容を参考にした質問項目群が組み込まれています。また、SPIの結果から、MBTIと同じ16タイプを導くこともできました。就職活動の場面での適性検査の利用は、性格診断への親和性を高めてきた可能性があります。
次に日本で「MBTIもどき」が、いつ、どのようにして流行り始めたのかを見てみましょう。その始まりは、2021年頃だと考えられます。
流行の最大の契機は、韓国のアイドルグループが、YouTubeなどで「MBTIもどき」を取り上げたり自身のタイプを公表したりしたことでしょう。
たとえば人気男性アイドルグループのBTSは、2014年に初めてMBTIの診断を受けたと話しており(この時は本来のMBTIだったようです)、2022年には「MBTIもどき」を自分たちで診断した動画を公開しています。その中で「もどき」のこともMBTIという呼称で紹介しているため、ほとんどの視聴者は両者を同じものだと誤認してしまったはずです。
私自身も、当時高校生だった娘からMBTIのことを聞き、驚いた記憶があります。
娘を含め、韓国アイドル好きな若年層が動画を見て、日本でも診断できないかとMBTIを検索し、「MBTIもどき」のウェブサイトに辿り着いたと考えられます。SNSなどでもMBTIだと言って、「もどき」のサイトが拡散されているのを多く目にしました。
実は日本で最もアクセス数の多い「MBTIもどき」のサイトは、MBTIだとは一言も謳っていません。そう言ってしまえば、本家から訴えられる恐れがあるからでしょう。
※本記事の全文(約9000字)は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」に掲載されています(小塩真司「こわい性格診断『MBTIブーム』」)。全文では、下記の内容をお読みいただけます。
・バズらせたら勝ち
・“取扱注意”の代物
・差別を生み出す危険性
