2階建てロンドンバスの上に……古生物!?
なによりツイートに添付された画像をひとめ見れば本のコンセプトがダイレクトに伝わってくる。
すでに絶滅してしまった動物たちが「もし現代に生きていたら、どのくらいの大きさだったのか」を精巧なCGでユーモラスに伝えてくれるのだ。
例えば、古生代の海で最大サイズ11mのカメロケラスを大胆にも、ほぼ同じ長さのロンドンの2階建てバスの屋根に乗せてしまう。これで、カメロケラスのおおよそのサイズ感がつかめる。
あるいはカンブリア紀随一のハンター(捕食者)、アノマロカリスを現代の市場のサバやスズキのヨコに置いてみる。古生代の海の覇者は「意外と小さかったのか」と唸らされる。
「こんなにサイズ感がわかりやすい古生物図鑑なかったよありがとう」という元のツイート主の言葉にはうなずくしかない。
5年以上の古生物本づくりから生まれたひらめき
「土屋さんとはこれまでに10冊以上、古生物の書籍を作ってきたのですが『大きさがいまいち実感できないなぁ』と感じることが多かったのです」と大倉さんは語るが、著者の土屋さんとの5年以上に渡る古生物本づくりを通して、今回の企画が生まれたのだそうだ。
「『身近なシーンに置いたら実感できるのかな?』と土屋さんに相談したら『じゃあ、やってみますか』と」
ただ制作期間は2年以上に及んだそうで、そこには並々ならぬ苦労があったのだそうだ。
「一番記憶に残っているのは、シーン合成です。古生物の3DCGと現代の写真の合成なので、上手くしないとチープな画像になってしまいます。配置する古生物と背景の角度、陰影の強さ、体表のヨゴレなどについては、かなり気を遣いました」
そんなディテールまでのこだわりがあったからこそ、パッと見てキレイでユーモラスなページが生まれたのだ。
ツイート主は知り合い"ではなかった"
さて、"今っぽい"のは土屋さんも大倉さんもツイート主の方とはもともと知り合い“ではなかった”というところである。
「何をされている方なのかはまったく存じ上げません」と土屋さんももともと話していたのだが、このツイートが縁となり、先日科学技術館でのイベントで無事に挨拶ができたそうだ。
『リアルサイズ古生物図鑑 古生代編』、当初の初版部数は4500部だったというが、発売前の段階ですでに4刷。さらに発売後に5刷が決まり、計6万部まで達している。大きく展開されている書店も多いので、手に取って古生物の絶妙なサイズ感を味わってみてはいかがだろうか。
そして土屋さん、大倉さんのふたりは早くも、次回作となる中生代編(恐竜時代である!)の編集に取り掛かっているそうだ。こちらも楽しみに発売を待ちたい。