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“そろそろ冬眠”のはずなのに…
クマは11月中旬〜12月頃には冬眠に入るため、まもなく出没件数は大きく減少するはずだが……。
「若齢個体や老齢個体は他に比べてエサを獲得する能力が低いため、冬眠を乗り切る脂肪蓄積ができず、やせ細った状態で冬場も人里をウロウロする可能性はある。ただし、冬眠せず春を迎えることは考えられず、そういった個体は途中で餓死すると思います」(同前)
一方、周囲に十分なエサ資源のあるクマの場合、冬眠入りが遅くなる傾向があるという。人里をエサ場とするクマは、まだしばらく活動を続け、冬場まで被害が長期化する恐れもある。
市街地にクマが侵入した時点で“負け戦”
今年9月には、市町村の判断で市街地でもクマに発砲できる「緊急銃猟」が開始され、警察官の動員も検討されるが、梅村氏は危険性を指摘する。
「住人やハンターが負うリスクが大きく、市街地での発砲は本来あってはならない。市街地にクマが侵入した時点で“負け戦”なのです。そうなる前に、クマに捕獲圧をかけて分布を押し戻すとともに、増えすぎた個体数を大きく減らす対策を国の主導で推進しない限り、大量出没の問題は解決しません」
クマと人間の戦いは、新たな局面に突入している。
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