1970年代イギリスで起きた凶悪事件の裏側に迫る。フレデリック・ウェストとローズ・ウェスト夫妻による連続殺人事件は、世界犯罪史に残る恐ろしい事件のひとつだ。
歪んだ家庭環境で育った二人が出会い、互いの性的嗜好と暴力性を増幅させていった過程を『世界の殺人カップル』(鉄人社)ダイジェスト版の後編よりお届けする。
冷蔵庫に保管された子供の遺体
1968年11月、27歳のフレデリックは15歳になったばかりのローズとバス停で出会った。当初、彼女は一回り以上年上の男性を気味悪がったものの、しつこく誘い続けられたことで根負けし、やがて肉体関係を持つようになる。
ローズは1953年、イングランド北部の貧しい家庭に生まれた。彼女の父親は暴力的な性格で、逆らえば妻子を殴り、鞭でしばいた。しかし、ローズと長姉のパトリシアだけは暴力を振るわれなかった。それは父親と近親相姦の関係にあったからだ。
「ローズはむしろ自分から積極的に体を提供した。DVから逃れるためではない。セックスそのものが好きだったのだ」
二人が運命的に引かれ合ったのは単なる偶然ではなかった。互いに親から性的虐待を受けていた経験と、ローズの性的嗜好がフレデリックの歪んだ性癖と見事に噛み合ったのだ。
