静かな山間の集落で、血まみれの3人の遺体が発見。なかには頭蓋骨がむき出しの遺体も⋯⋯。少女の失踪を伴う凄惨な事件はなぜ起きたのか? 世界中のコールドケースを取り上げた文庫『読んで震えろ! 世界の未解決ミステリー』(鉄人社)から、その一部を紹介する。

写真はイメージ ©getty

山小屋で発見された惨劇と失踪した少女の骨

 1981年4月12日の朝、米カリフォルニア州プラマス郡ケディに住むシーナ・シャープ(当時14歳)が自宅に戻ると、リビングの床に母グレナ(同36歳)、兄ジョニー(同15歳)、ジョニーの友人のダナ・ウィンゲート(同17歳)の3人が血まみれで倒れていた。急いで友人宅に引き返し警察に通報を依頼した。

 駆けつけた警察が目にしたのは惨状の極みだった。ソファの近くで上半身裸で横たわり、医療用テープと電気コードで体を縛られ、自身の下着で猿ぐつわをされたグレナは胸と喉を何度も刺されており、喉の傷は喉頭を貫通し背骨まで達していた。一方、ジョニーとダナはハンマーで頭部を何度も殴打され、折れた頭蓋骨がむき出しになっていた。

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 現場から血のついたナイフ2本とハンマー1本が押収されたが、荒らされた形跡や盗まれた金品はなく、よほど深い恨みを持つ者の犯行と推定された。さらに、次女ティナ(同12歳)の姿がどこにも見当たらなかった。

犯人はどこへ?

 シャープ家に泊まっていたジャスティン・スマート(同12歳)から重要な証言が得られる。夜中に物音がして寝ぼけ眼でリビングを覗くと、グレナが2人の男と口論しており、そこにティナが入ってきたところ男の1人に屋外へ連れ去られたという。男の1人は長髪、もう1人は短髪で、両者とも身長180センチ前後、20代後半から30代前半で金のフレームのメガネをかけていたという。

次女の頭の骨が発見

 事件発生から約3年後の1984年4月、ケディから約160キロ離れたキャンプ場で人間の頭蓋骨の一部が発見され、鑑定の結果ティナのものと判明した。さらに骨が発見される直前、警察に「(今度発見される)骨はティナのものだよ」と匿名の電話がかかってきたことがわかった。

27年後、新証言が出たが⋯

 事件から27年後の2008年、テレビのドキュメンタリー番組でジャスティンの母親マリリン・スマートが驚きの証言を行う。4人を殺害したのは、元夫のマーティン・スマートと、当時家に下宿していた友人のジョン・ブーベードだというのだ。グレナとマーティンは一時期不倫関係にあり、グレナはマリリンにマーティンとの離婚を強く勧めていたという。

 さらに、離婚後にマーティンから届いた手紙に4人の命を奪ったことを示唆する内容が記されていたと証言した。警察もマーティンとジョンを重要容疑者として取り調べたが、マーティンは手紙の存在を否定し、ポリグラフ検査でも2人とも「シロ」と判定されたため、捜査線から外されたという。

事件はいまだ未解決

 マーティンとジョンが事件に関与していた可能性は決して低くないが、確たる証拠が得られないまま、ジョンは1988年、マーティンは2000年に死亡。約40年を経た今もこの凄惨な事件は未解決のままである。

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