フランスの“見せる核抑止”戦略

 じつは、フランスは核兵器抜きで"見せる核抑止"ともいえる動きを見せていた。2024年12月、バルト三国の領空の主権を守るという名目で、リトアニアに「ラファールB戦闘機」4機を派遣したのだ。この第四戦闘航空団のラファールB戦闘機(約50機)と仏海軍のラファールM戦闘機(42機)は、射程500kmで最高速度マッハ3級の超音速核巡航ミサイル「ASMP-Aミサイル」と、射程600km級の「ASMPA-Rミサイル」を発射できる。

 リトアニアの飛行場からモスクワまでの直線距離は886km。ほぼフル装備のラファールB戦闘機が往復できる距離の半分は1850km。すなわち、計算上はモスクワを射程圏内にできるかもしれない。それが実証されたからこそ、マクロン大統領はいわば「核の傘」をヨーロッパに拡げると提案したのだろう。

フランスのマクロン大統領 ©AFLO

NATO欧州諸国の反応は?

 では、マクロン氏の「核の傘」構想にNATO欧州諸国は、どのように反応したのか。

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 ウクライナや、ロシアと同盟関係にあるベラルーシを隣国とするポーランドは従来からアメリカに核共有を求めてきたが、2025年4月に大統領が「仏の核兵器は確かにポーランドの防衛に役立つ可能性がある」と声明を発表した。

 また、ドイツのメルツ首相はマクロン氏との核抑止力に関する協議に言及し「まずは意見を一致させたい」と述べ、「イギリスも参加させるべきだ。欧州には核保有国が2カ国ある。フランスとイギリスだ」と続けた。ちなみに、ドイツはアメリカとの核共有政策を重視してきており、ドイツ空軍のビューヒェル空軍基地には、推定15発から20発の米核爆弾が貯蔵されているとみられる。