教育の役割が変わる
東大入試、司法試験、医師国家試験に合格する能力をもつAIを無料で好きなだけ使えるようになれば、教育の役割も変わらざるを得ない。とりわけ大きな影響を受けるのは、高校まで12年間、大学を入れれば16年間も、月曜から金曜まで子どもたちを施設に「監禁」し、暗記中心の座学を行なってきた学校だ。
ピーター・ティールは、もっとも生産性の高い10代後半から20代前半を大学で過ごすのは無駄だとして、22歳以下の学生を対象に、大学を中退して起業することを条件に20万ドルを支給する「ティール・フェローシップ」を2011年に始めた。またティールが創設した情報機関向けのデータ解析企業パランティアは2025年4月、優秀な高卒者のための「メリトクラシー・フェローシップ」を導入した。アイビーリーグの大学に入学できるだけの能力がありながら、進学を望まない若者を対象とした4カ月の有給のインターンシップで、月額5400ドル(約80万円)の報酬が支払われるばかりか、修了者には社員登用の道も開かれる。
有名大学に進学して博士号を取得すると20代後半になってしまうが、高卒でテック企業に入社すれば同じ10年間、高度な仕事をして経験を積むことができる。優秀な若者であれば、20代で一生働かなくてもすむだけの資産をつくることは難しくないだろう。
こうした成功例が広く知られるようになれば、「高い学歴を得て一流企業に就職する」という人生設計の常識は根本から書き換えられる可能性がある。当然、新しい潮流に乗った者と、乗り遅れた者の「格差」は絶望的なまでに広がっていくだろう。
AIをはじめとするテクノロジーの指数関数的な高度化によって、社会がどのように変わっていくのかは、「実験国家」であるアメリカを見ていればわかる。テクノロジーに国境はないので、日本でも3年から5年遅れて、アメリカと同じことが起きるだろう。
〈この続きでは、日本の若者の幸福感を分析しています〉
※本記事の全文(約1万字)は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」と「文藝春秋」2026年2月号に掲載されています(「2026年版『言ってはいけない』」)。全文では、下記の内容をお読みいただけます。
・住む場所による格差
・大卒/非大卒で社会が分断
・10代女子の自殺数が急増
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