今、世界の格差の現状は——。AI時代の“富の分配”を、橘玲氏が統計データに基づいて分析した。「ブルーカラービリオネア」と呼ばれる人たちが出現しているが、楽観できないのはなぜなのか。
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ブルーカラービリオネア

 アメリカでは全体の失業率が4.6%なのに、大卒前後の20~24歳では8.3%まで上昇し、これまでホワイトカラーがやっていた日常業務をAI(人工知能)が代替するようになったからではないかといわれている。もしこれが事実なら、「中途半端な高学歴」の苦境はさらに深まるだろう。

アメリカでは、インド系移民で34歳のゾーラン・マムダニ氏(左)がニューヨーク市長選で圧勝。マムダニ氏が「ふつうに働いて、ふつうの暮らしができること」を訴えたことが若者に響いたとされる ©時事通信社

「ブルーカラービリオネア」は、ホワイトカラーがAIに代替されない仕事を目指して職業訓練学校に入学し、自ら望んで高収入のブルーカラーになることをいう。カリフォルニア大学バークレー校などで学び、会計士として働いていた40代の男性は、5年ほど職業訓練校に通って配管工に転身し、月に1万2000ドル(約190万円)を稼いで、収入は会計士時代の3倍になったという(「米国、会計士から配管工で給与3倍の幸福度 『AIで雇用創出は望み薄』日本経済新聞電子版2025年12月3日)。

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 だがブルーカラーの仕事は、医師や弁護士・会計士などの専門職と比べて参入へのハードルが低い。大卒者が小さな業界に殺到すれば、いずれ収入は減っていくのではないか。