(3)節税 意外と大きな影響がありそう
意外と大きな影響がありそうなのが節税対策の封じ込めだ。自民党税制調査会からの改正案がかなり大胆なものであったからだ。
高齢富裕層が相続評価額を圧縮するために相続に備えてタワマンなどの区分所有マンションや一棟ものの賃貸マンションなどを購入する動きに対して、物件取得後5年を経過していない財産について、マンションなどの賃貸用不動産については、購入価格をベースにその8割の水準で評価する、不動産小口化商品については、取得時期を問わず時価で評価することとする改正案を発表している。実施は2027年1月からの予定だが、節税用にマンションや不動産小口化商品に投資することで対策を行う動きはかなり制約されることになりそうだ。
規制すべき方向性は明快
2013年以降の大規模金融緩和およびコロナ禍における大量のコロナ関連支援で市場に大量のマネーが供給された結果、皮肉なことにそれらのマネーによって株式、不動産などが急騰した。そしてアフターコロナにおいて、欧米が利上げによる金融引き締めを行ったのに対し、日銀は低金利状態を維持したために激しい円安を招き、外資マネーの大量流入を引き起こし、不動産は金融商品と化し、実需ベースでしか取得ができない一般国民が置き去りになった。
規制の方向性は明快だ。極端な投機マーケットとなった不動産市場に対して、行き過ぎた転売行為(例えば2年以内)については重課税を行う。自宅の売却に関しては特例で譲渡益に対して3000万円の特別控除があるが、利用に制限(例えば10年に1回)をつけることで自宅転売によって繰り返し利益を受ける自宅転売ヤーの行動を規制する。外国人については非居住者(投資ツアーで来日して投資用で購入する外国人)の取得について、固定資産税、不動産取得税、売買契約書の印紙税などを高額にする。そして節税に関しては、区分所有マンションや小口化商品といった従来所有していなかった不動産については相続評価額の基準を時価ベースにするなどといったものだ。
加えて、重要土地等調査法を改正して、国防・安保上重要な土地の対象範囲を広げ、基地、原発、水源地などのほかに重要と思われる農地や山林も食料安全保障、国土保全の観点から基本的には外国人による購入を認めず、現所有者が売却する際には国庫に帰属させることができるようにするなどの規制を行うこともあわせて提言したい。
いたずらに大きな声に押されて慌てて規制するのではなく、段階的にあるいは時限立法などにして市場の状況を見定めながら行うことだ。今後の規制の方向性に注目したい。