山火事や、洪水、異常気象や自然災害に見舞われた2025年を振り返っただけでも、我々の住む地球が直面している危機がいかに深刻なものか、誰もが痛感するはずだ。ヨルゴス・ランティモス監督の新作『ブゴニア』は、この危機を笑い満載で独創的に警告する挑戦作だ。『へレディタリー/継承』や『ミッドサマー』などで知られるアリ・アスター監督がプロデューサーとして関わり、2003年の韓国映画『地球を守れ』をアップデートした。

映画『ブゴニア』

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エイリアンと疑われて誘拐されるCEO

 ランティモス監督は語る。

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「アリ・アスターとプロデューサーのラース・クヌードセンに話を持ち掛けられたのが、そもそもの始まりだったんだ。脚本を受け取るまでは、オリジナルの韓国映画については知らなかった。ウィル・トレイシーの脚本は衝撃的な内容だった。刺激的でエキサイティング、エンターテイニングかつ複雑で、制作への意欲をそそられたよ。この脚本を読んだ後でオリジナルの映画を観た。本作を現代的で異なるヴァージョンとして作り上げるために」

映画『ブゴニア』

 製薬会社のCEOとして、世界的に名をはせる辣腕経営者ミッシェル(エマ・ストーン)。彼女はある日、テディ(ジェシー・プレモンス)とその従兄弟のドン(エイダン・デルビス)によって誘拐される。2人は彼女がエイリアンであるという陰謀論を信じて疑わず、地球を守るために行動を起こすのだ。エイリアン? まさか? と観る者は半信半疑ながら、過激な2人の行動と大胆な物語展開に引き込まれていく。話は様々な因果関係を加えつつ二転、三転し、予想もつかないような真実にたどり着くのだ。

映画『ブゴニア』

監督も最初は自分が何を求めているか分っていない

 息の合うスタッフやキャストとは繰り返しタッグを組むことで知られている監督。エマ・ストーンとは『女王陛下のお気に入り』(2018年)以来長編4作目、ジェシー・プレモンスは『憐れみの3章』以来2度目の共作。ランティモス論理で展開する、不可解だがなぜか納得させられる世界のキャラクターを、2人は体当たりでこなす。ランティモス監督の映画は複雑かつニュアンスのきいた演技が重要な鍵となるが、演じるにあたり大変だった点を尋ねると、エマ・ストーンはこう答える。