ヘブンの著作がトキの怪談から生まれるという重みも感じていたので、演じる前は不安もありました。それでも、いよいよ怪談を語るときは、とにかくヘブン先生の感情を動かしてやろうという、その一心でした。

第12週、『鳥取の布団』を語るトキ ©NHK

 あのシーンって、2人が真ん中にある怪談を通じて、どんどん惹かれ合っていく場面ですよね。だから私も演じたときは、「人生で一番楽しい時間だ」と思って役に入っていました。できあがったシーンを見た時に、2人が心からワクワクしているのが伝わってきて、ああ良かったなと思いました。

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 ヘブンを演じるトミー・バストウは1991年生まれ、イギリス出身の34歳。父と見た黒澤明監督の映画に魅了され、2008年から俳優活動を開始する。2024年、第76回エミー賞において史上最多の18部門で受賞した米国のドラマシリーズ「SHOGUN 将軍」で、日本語が堪能なポルトガル人司祭を演じた。髙石との共演は本作が初めてだ。

英語の「Beer」が伝わらず、ヘブンはイライラ ©NHK

トミーさんの心が透けて見える

 はじめましての日から、トミーさんとは、ずっと寄り添っているような、不思議な感覚がありました。「ばけばけ」のメインビジュアルやオープニング映像で使われている写真は、トミーさんと顔を見合わせて笑い合っているものばかりなんですが、これは夫婦の場面を撮るよりずっと前、まだ初期の頃にスチールの撮影をしているんです。それなのに、いま見ても「夫婦みたい!」と思うほど距離が近いですよね。この空気感がなんで出るのか自分でも不思議です。

 トミーさんは10年間も独学で勉強されていたので、日本語がすごくお上手で、普段の現場では日本語でお話しされています。ですが、たまに監督から難しい指示が飛んでくることがあります。通訳の方が話す前に、彼には「こういうことなんだろうな」というのがわかる。そのトミーさんの心は、私にはなぜか透けて見える。

怪談を通じて距離が縮まるヘブンとトキ ©NHK

 私は、ヘブンのトキを見る目線が大好きなんです。トミーさんの演じるヘブンというキャラクターは、チャーミング。怒ったり笑ったり、いろいろな感情を爆発させているけれど、トキを思いやる目線や、ちょっとした間など、空気が縮まるというか、勝手に持っていかれる感覚があります。きっと視聴者の方もヘブンに魅了されていくんだろうなと思っています。

※本記事の全文(約5500字)は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」と「文藝春秋」2026年2月号に掲載されています(髙石あかり「『ばけばけ』第二幕はうらめしや〜」)本記事の全文では、下記の内容をお読みいただけます。
・エッセイ審査のお題は「化ける」
・「朝ドラヒロイン決定!」の手紙


█編集者が明かした取材秘話
《『ばけばけ』第二幕スタート》業界人がいま一番会いたい俳優・髙石あかり(23)ってどんな人?

出典元

文藝春秋

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