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嘉禎三年十一月二日
沙門宗性(花押)
生年三六
この誓文の中で登場する「童(童子)」が、稚児である。二から四までが男色に関する項目だ。要は、「私(宗性)は95人の稚児と同衾を重ねてきたが、100人以上にならないようにしたい。亀王丸という稚児が最もお気に入りで、今後の肉体関係を持つのは亀王丸のみにする。41歳になれば、隠遁する」ということである。
五に「上童・中童」とあるが、これは稚児の中の序列である。最も序列が高い稚児が上童子で、次いで中童子である。宗性は上童子と中童子とは肉体関係を持たないと誓っているが、その他の稚児(亀王丸や一般人)はその限りではない、とも読み取れる。
近世、破戒僧は厳罰になったが…
宗性の旺盛な性欲には驚かされるが、当時の仏教寺院では奔放な男色劇が繰り広げられていたことがよくわかる。
江戸時代に入ると、稚児文化には幕府による綱紀粛正の波が押し寄せ、破戒僧への厳罰化が進む。そのため、中世のような乱れた状況は改善されたものと推察できる。だが、女犯での摘発例が相次いでいることを見れば、寺院における男色が水面下で継続していたと考えるのが自然であろう。
鵜飼 秀徳(うかい・ひでのり)
浄土宗僧侶/ジャーナリスト
1974年生まれ。成城大学卒業。新聞記者、経済誌記者などを経て独立。「現代社会と宗教」をテーマに取材、発信を続ける。著書に『寺院消滅』(日経BP)、『仏教抹殺』(文春新書)近著に『仏教の大東亜戦争』(文春新書)、『お寺の日本地図 名刹古刹でめぐる47都道府県』(文春新書)。浄土宗正覚寺住職、大正大学招聘教授、佛教大学・東京農業大学非常勤講師、(一社)良いお寺研究会代表理事、(公財)全日本仏教会広報委員など。
浄土宗僧侶/ジャーナリスト
1974年生まれ。成城大学卒業。新聞記者、経済誌記者などを経て独立。「現代社会と宗教」をテーマに取材、発信を続ける。著書に『寺院消滅』(日経BP)、『仏教抹殺』(文春新書)近著に『仏教の大東亜戦争』(文春新書)、『お寺の日本地図 名刹古刹でめぐる47都道府県』(文春新書)。浄土宗正覚寺住職、大正大学招聘教授、佛教大学・東京農業大学非常勤講師、(一社)良いお寺研究会代表理事、(公財)全日本仏教会広報委員など。
