1月28日、東京大学の藤井輝夫総長が記者会見を行い、謝罪した教授の収賄容疑による逮捕。社会部記者が解説する。
「1月24日、同大大学院医学系研究科教授の佐藤伸一容疑者(62)が、共同研究の相手方である『日本化粧品協会』の引地功一氏から多額の接待を受けたとして収賄容疑で警視庁に逮捕された。佐藤氏の部下だった吉崎歩・元特任准教授(46)も同容疑で送検されました」
「週刊文春」は昨年3月、料亭や銀座の高級クラブに始まり、佐藤氏らが研究を放り出して興じた日中の吉原ソープランド通いなど、「エロ接待」の実態をいち早く詳報。佐藤氏らの要求に応じ続けた引地氏が内実を実名告発したのだ。
皮膚科界に君臨する“カリスマ教授”の接待汚職
報道から10カ月。ついに、逮捕者を出したこの事件だが、いまだに深い“闇”は残る。書類送検前の昨秋、引地氏は再度「週刊文春」の取材に応じ、学内に広がる癒着の根深さや、東大が交わす不可解な別の契約について、120分に渡って独占告白していた。
経緯を振り返ろう。
舞台となったのは、東大が設ける民間との共同研究の仕組み「社会連携講座」だ。人件費をはじめ研究の経費を事前に取り決め、民間側が全て負担するこの制度。東大は研究資金の確保につながる一方、民間側は、研究で生じた知的財産について東大と交渉するなど、研究の成果を自社のビジネスに活かすことができる。
引地氏らと東大の間でこの連携講座が始まったのが、23年4月。法規制が予定されていた「カンナビジオール」(CBD)という大麻草由来の成分が、ヒトの皮膚に対して持つ作用を、臨床研究で明らかにしようというものだった。
「化粧品協会では、かねてから消費者相談や教育事業の他に、化粧品の処方開発などを行ってきた。CBDが世の中に広まるにつれ、消費者や企業からその安全性や有効性に関する相談が寄せられるようになっていました。CBDは抗老化や抗炎症効果なども報告されている注目の成分。東大で臨床研究ができれば事業にも役立つと思い、その門を叩いたのです」(引地氏)
この講座で、東大側の研究を担ったのが、特任准教授(当時)の吉崎氏であり、佐藤氏はその指導役として、実質的に意思決定を担っていた。自らも東大医学部出身で、東大皮膚科学教室のトップだった佐藤氏。
「東大皮膚科は、東京近郊の名門大学病院に多くの教授を輩出し、日本皮膚科学会などの要職も独占。人事をすべて東大教授が握ります。佐藤氏はまさに国内皮膚科界のドン。東大医学部出身以外は冷遇されて学外に出されるのが慣習だったのですが、長崎大出身の吉崎氏は、佐藤氏に取り入って重用され、長年東大に残っていた」(病院関係者)
皮膚科界に君臨する“カリスマ教授”と、付き従う忠実な部下。そんな2人への引地氏の接待が始まったのは、講座開始の2カ月前だった――。
《この続きでは、前総長の名前も登場する東大の接待汚職の真相を詳しく報じている。記事の全文は現在配信中の「週刊文春 電子版」および2月5日(木)発売の「週刊文春」で読むことできる》

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