直筆の手紙から浮かびあがる人物像
── 鈴ノ木さんが歴史に興味をもたれたのはいつ頃からですか?
鈴ノ木 子どもの頃、おじいちゃんとテレビの時代劇ばかり観てたんですよ。歴史というより人情ばなしですね。歴史ものでは、小学生のときに観た中井貴一さん主演の大河ドラマ『武田信玄』。僕は山梨県出身なのでのめり込みました。
そこから戦国時代に興味をもって、理科の自由研究で日本地図に戦国武将の領地を描いていったんです。武田信玄とか上杉謙信とかの領地。先生は「すごいね」と褒めてくれたあと、「でも、これは理科じゃなくて社会科だ」と言われました(笑)。漫画家をめざしたのも、歴史ものが描きたかったからです。
山崎 もともとお好きなんですね。高知県の坂本龍馬記念館で、手紙は見ました? 乙女姉やんに送った、紙の面積ギチギチに書いてるの。
鈴ノ木 見ました見ました。字の大きさが全然違うやつ。
山崎 そうそう。最初は堂々と綴ってるのに、最後のほうはスペースが足りなくて、ちっちゃい字になる。すごく子どもっぽい。まだ言いたいことがあるからもうちょっと……みたいな名残惜しさが字に表れてる。直筆の手紙が残ってる人は、文字から性格がわかりますね。
鈴ノ木 たしかにそうです。桂小五郎の字はすごく丁寧ですし。
山崎 わかります。あの時代は「もう無理かもしれない」と思ったら、美徳として切腹する人が多いなかで、手を変え品を変え、名前を変えて逃げまわる。自分のやりたいことを成すために、生きつないでいく。彼は自分を俯瞰して見ている気がします。