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 続いて「詩×絵画」。詩人・管啓次郎と美術作家・佐々木愛による作品が並ぶ。ふたりは2009年から、各地を歩いてその印象から詩と絵をつくる「WALKING」プロジェクトを継続中。太田市を歩いてつくった新作を含め、これまでの成果をまとめて発表している。

 さらには、「短歌×イラストレーション」の展示もある。地元に暮らし歌人として活動した大槻三好・松枝夫妻の歌を、惣田紗希のイラストレーションと出逢わせてあるのだ。

 穏やかで柔らかい大槻夫妻の短歌と、壁面いっぱいに描かれた惣田のシンプルで親しみの持てる絵が相まって、陽だまりに身を置いたかのような温もりが空間全体を満たしている。

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言葉とアートは意外に近しい

 言葉とアート、異質なものが取り合わされることで、それぞれがふだんとずいぶん違った見え方をしていることはたしか。同時に、詩や短歌などの言語芸術と、絵画などのビジュアルアートは、それほどかけ離れたものでもないことにも改めて気づかされる。どちらも何らかの考えやイメージを伝え、共有するために存在するのだから、うまく取り扱えばすんなり融合させることはできるわけだ。

 展示スペースを出ると、建物内のそこかしこに、ジャンルごとに分かれた無数の本が並んでいる。そう、ここは図書館と美術館の機能が併設されている場だった。しかも、ただ同居しているのではない。建物内では美術館と図書館のスペースが半ば混ざり合い、ごく自然に調和をとっている。

 見た目は少々異なれども、言葉とアートは意外に近しいと今展から学んだばかり。「美術館・図書館」が無理なく存在できて、心地いい場となっているのもまた、当然のことなのだった。