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ネタ自体を直されることに抵抗した『エンタの神様』

 

―― アンジャッシュの知名度が上がったと感じたのは『オンエアバトル』でしたか。

児嶋 たしかに『オンエアバトル』でチャンピオンになれたのは大きいんですが、知名度が爆発的に高まったなって感じたのは『エンタの神様』です。

―― 『エンタ』は『オンエアバトル』の4年後にスタートして、2000年代のお笑いをリードしたもう一つの番組ですよね。日本テレビ・五味一男さんの独特な演出もあって高い視聴率を獲得していましたが、五味さん流の演出に関してはどう思ってましたか。

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児嶋 最初は嫌でしたね。テロップをつけられたり、ネタをこう直してくれと言われたりとか。それまで、ネタ自体を直されるなんてことなんてなかったので。別にダメだったら番組に出さなきゃいい。よかったら出してくださいというのが基本でしたから。だからけっこう、あの頃は戦ってましたね(笑)。

 

―― 五味さんと直接やり合うんですか。

児嶋 いやいや、基本は担当ディレクターと戦うんです。だから担当のDは板挟みで可哀想なんです(笑)。シャレ半分で渡部が、「ちょっと児嶋、五味さんに言ってこいよ」って言うから、交渉に行ったことありますよ。

―― 渡部さんは行かない(笑)。

「もうちょっと下ネタを入れてくれないかな」

児嶋 五味さん、和やかな人なので、直接会うと関係は緩まるんです。もちろん、番組と出演芸人をよりいいものにしたいからこそ考えてくれているわけで、話をすれば分かり合える。だからめちゃくちゃ感謝してますよ、五味さんに。変わった注文を受けたことはありますけど。

―― どんなことですか?

児嶋 「もうちょっと下ネタを入れてくれないかな」って言われたことがあるんです。

 

―― へぇー。ゴールデンタイムの番組なのに。

児嶋 全体を見る人の考え方なんでしょうね。番組全体の構成を見た時に、今回は下ネタがあんまねぇなって思ったんでしょう。でも露骨な下ネタだめじゃないですか。それで僕らなら、すれ違いネタでストレートではない「下ネタ展開」が期待できると。

―― 全体のバランス感覚ですね。

児嶋 五味さんと好対照な人が、藪木(健太郎)さんっていう、今、フジテレビの『ENGEIグランドスラム』とかをやってる人ですね。若手の頃にCSのフジテレビの番組で、エレキコミックとか、アメリカザリガニとかと一緒に仕事をした方なんですけど、藪木さんは一切ネタに口出ししない人。ディレクターは見せ方撮り方のプロ、芸人はネタのプロって、線を引いているんだと思います。