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お姫様ごっこができなかった少女時代

──メガネは小学校の頃からかけていたんですか。

三浦 私は3歳のころからすでに視力が0.1しかなかったので、小・中とずっとメガネをかけていました。子供のころは、基本、人と話さずに童話の世界にのめり込んでいました。小学校から家まで見渡せるくらいの田んぼ道だったので、ずっと本を読みながら帰っていました。『ナルニア国物語』とか『指輪物語』といったファンタジーや『赤毛のアン』に没頭していましたね。

 父がまだ東大の助手のときに子供が5人になりまして、私は大学院の終わり頃の子供ですが、その後も防大の教員で公務員でしたから、子沢山である以上は節約が基本でした。機械音の出るようなおもちゃを買ってもらったことなんてありませんでした。泥団子を作ったり、作物を育ててチャボの世話をしたり、社会主義の村みたいな幼少期だったかもしれないですね(笑)。

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 お姫様ごっこのような衣装にも憧れたけれど、そういうことはうちでは出来なかったです。だから、親戚がバービー人形をお土産に持ってきてくれたときの嬉しさたるやなかったですね(笑)。本に没頭したのも、図書館があって、そこに行けば本がタダで読めて、自分を楽しませてくれるものが無尽蔵にあるように思えたからなんだと思います。

三浦瑠麗さん ©榎本麻美/文藝春秋

異質だからはじき出されて、ずっと本を読んでいた

──お勉強ができたということで、教師からは可愛がられたりしなかったんですか。

三浦 特別視はされていたと思います。百人一首などもすぐに覚えるし……でも、異質なものとして認識されていたんじゃないでしょうか。やっぱり、教師って明るくって単純な「子供らしい子供」が好きなんだと思うんです。よく「他の子ともっと仲良くしなさい」と言われましたけど、ちょっと扱いづらい、面倒くさい子供だと思われていたんじゃないかと思います。

 高校生くらいになると、無視のされ方も変わってきますが、私の原体験というのは、異質だからはじき出される、だったら一人で居よう。一人で居たらもっと本を読む、もっと頭でっかちになる……その繰り返しの中で「一人で居る」ことを学んだということにあると思います。

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※三浦瑠麗が語る「感動の涙を醜いと思ってた」中学時代──国際政治学者・三浦瑠麗さんインタビュー ♯2に続く http://bunshun.jp/articles/-/6816

日本に絶望している人のための政治入門 (文春新書)

三浦 瑠麗(著)

文藝春秋
2015年2月20日 発売

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三浦瑠麗さん ©榎本麻美/文藝春秋

三浦瑠麗(みうら・るり)

国際政治学者。1980年神奈川県生まれ。東京大学農学部卒業。東京大学公共政策大学院修了。東京大学大学院法学政治学研究科修了。博士(法学)。専門は国際政治。現在、東京大学政策ビジョン研究センター講師。主著に『シビリアンの戦争』(岩波書店)、『「トランプ時代」の新世界秩序』(潮新書)、『日本に絶望している人のための政治入門』(文春新書)、『国民国家のリアリズム』(角川新書、共著)。2017年12月、第18回正論新風賞を受賞。