社会問題化する独身偽装。近年、性的な自己決定権(貞操権)侵害により、裁判所が損害賠償を命じるケースが相次いでいる。だが、慰謝料は100万円に満たないことも。独身偽装で出産まで経験した、あおさんの場合は――。

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「既婚者の子供を産みたくありませんでした」

 木目調のプリント合板に囲まれた、無機質で殺風景な空間。東京地裁の法廷に立ったフリーデザイナー、中村あお(仮名、30代)さんは、眼前の風景に張りぼてのような味気なさを感じていた。法壇に並ぶ黒い法衣の裁判官も、感情のないロボットに見える。

 そんな中で彼女は訴えた。

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「相手を泥酔させたり、相手の判断能力を鈍らせたりして性行為を持つことは刑罰対象になります。なのにどうして独身だと騙して性行為を持つことは刑罰対象ではないのでしょうか。

 子供は私にとって大事な存在ですが、あえて言わせてほしい。私は既婚者の子供を産みたくありませんでした」

※写真はイメージ ©AFLO

認められた慰謝料は88万円

 あおさんもまた“独身偽装”の被害者の一人だ。彼女は、既婚であることを隠していた交際相手との子供を妊娠、出産した。23年7月、慰謝料を求めて提訴し、翌24年11月に勝訴。だが、認められた慰謝料は88万円。

 並行して行った、相手に子供の認知を求めた裁判や養育費をめぐる調停にも弁護士費用がかかり、それらは総額約150万円に上った。慰謝料をもらっても赤字だ。昨年2月からは、刑事罰の対象にすることや民事事件での慰謝料の引き上げを求めてウェブ上での署名運動を始め、約1万6000筆が集まっている(2月23日時点)。

 
署名サイト「change.org」での呼びかけと賛同者数

 あおさんを騙したのは、民放番組などの制作に関わる独立系制作プロダクションに務める、妻子持ちのTVマン。既婚者だと発覚した時、既にあおさんは妊娠4カ月を迎えていた。

あおさん(仮名)とマッチングアプリで知り合った男性(当時33歳)

《この続きでは、妊娠を告げられた男性の驚きの言動や独身偽装をするに至った理由、裁判の詳細などその後の顛末を詳しく報じている。記事の全文は現在配信中の「週刊文春 電子版」および2月26日発売の「週刊文春」で読むことができる》

 


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第1回:博報堂マンの「独身偽装」と「リモート会議性交」
第2回:航空自衛官の禁断写真と妊活妻との修羅場

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