もしあの場面、村上に「代打・牧原」を出していたら……
あの場面、牧原選手が代打に出てバントで送っていたら、どうなっていたでしょう。ある野球記者が「たら、れば」の想像を巡らせていました。
バントで送っていたら、1アウト二塁、三塁。続いて、6番・岡本和真選手(巨人)に代わって入っていた中野拓夢選手(阪神)がセーフティースクイズで5対5の同点に追いつく。なお、2アウト三塁で、7番・山田哲人選手(ヤクルト)と勝負。
タイムリーヒットならサヨナラ勝利。無得点なら延長10回タイブレークに突入。両チームとも、ノーアウト二塁の「継続打順」から始まります。
メキシコは1番・アロサレーナ選手(レイズ→現・マリナーズ)から。レフトでファインプレーを連発し、両腕を組む“ドヤ顔”でチームを盛り上げていたムードメーカーです。8回の打席では二塁打を打って波に乗っていました。
一方、日本は8番・源田壮亮選手から、9番・大城卓三選手(巨人)、1番・ヌートバー選手(カージナルス)と続きます。右手小指を骨折しながら強行出場の源田選手、そして1番・ヌートバー選手には、あの試合まだヒットが出ていませんでした。そして、守備から入った大城選手はあの試合初めての打席を迎えるのでした。
野球に「絶対の正解」はない
選択肢はノーアウト一、二塁から代打・牧原選手の送りバントか、村上選手の強打でした。強打を選べば可能性としてダブルプレーもありえました。結果、5番・村上選手がセンターオーバーの二塁打で「侍JAPAN」は劇的なサヨナラ勝ちを収めました。
栗山英樹監督がどう考えていたか、僕にはわかりません。しかし、野球の采配は将棋のようにすごく先まで読まなくてはいけないのだと思います。ピッチャーの「配球」にしても「これこれこうしたらバッターを抑えられるのではないか」というセオリーはありますが、絶対正解とは言えません。絶対正解があるのなら、逆に言えば、打者に先読みされて打たれてしまいます。
だから、僕は後輩と野球の話をするとき、「僕はこういう考え方だけれども、いろいろな選択肢があるよ。自分に適していると思えば採り入れればいいんじゃないかな。取捨選択してね」と伝えています。