センターの素質とは?
有働 秋元さん自身が謙遜なのか「誰が売れるかはわからない」とおっしゃるからではないですか。
秋元 それは謙遜でなく本当にわからないです。AKB48で「絶対的エース」「不動のセンター」と言われた前田敦子にしても、デビュー当時売れると思ったわけではない。一人だけ「私はセンターだけは嫌です」と言っていたのが変わってるなと思ったので、センターにしたことはあります。
有働 でも結果的に大スターになったのはなぜでしょう。もっと前に出たい子を選んでもいいのでは?
秋元 自分に自信があって真ん中に立ちたいという人は、自分にとっての正解である“センター観”を持っていて、その枠から出られないんです。そういう人より、何もわかっていなかったりバランスが悪かったりする人の方が面白いというか、人を共鳴させる力を持っています。
有働 どういうことですか?
秋元 プロデュースってゼロをイチにしたり無色なものに色をつけたりするものだと思われがちですが、それは絶対無理で、色のない優等生をスターにするのが一番難しい。逆に、ちょっと失礼だったり暗い目をしていたりする0.1を10倍にして1にして個性を引き出すのがプロデュースだと思います。
有働 そういう他の人ならネガティブに捉えるような個性を秋元さんが面白いと思った例はありますか。
秋元 たくさんあります。AKBの2回目のオーディションで年齢詐称した子がいて、体重も詐称していたことがわかって。さらに、靴のサイズも小さく申告していた。
有働 年齢と体重はわかるけど靴は詐称せんでもいいやんか。
秋元 それくらい詐称だらけなので、クビにしましょうと相談が来たんです。僕は逆に面白いと。だってそんなに嘘で固める人もいないじゃないですか。その子はバンジージャンプのロケでも体重で嘘をついて、普通は水面の手前で止まるところを水の中に突っ込んだ人ですから。
有働 すごい(笑)。
秋元 それが野呂佳代ですよ。
有働 わ〜、今や女優業にバラエティにと大活躍の!
秋元 つまり人と違っているというのは面白いんじゃないですかね。
※本記事の全文(約8000字)は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」と「文藝春秋」2026年4月号に掲載されています(秋元康×有働由美子「嫌われそうなものにこそ、ファンは惹きつけられる」)。

