顔を隠しながら観ていました
──過酷な場面も多い作品ですが、撮影中につらく感じることはありませんでしたか。
森 撮影中は完全に「じゅじゅ」として生きていたので、つらいとか苦しいという感情はあまりありませんでした。
はじめて完成した映画を観たときも、まだ「じゅじゅ」が残っていたので、そんなにつらく感じなかったのですが、サンダンス映画祭で観客の一人として観たときは、じゅじゅの抱えていた苦しさやつらさが思い浮かんできて、思わず泣いてしまいました。
まわりの方々から「自分の芝居を観て泣いている」と思われたら恥ずかしいので、顔を隠しながら観ていました。
──じゅじゅは、どう役作りされたのでしょうか。長久監督とはどのような話をされましたか。
森 客観的に見るとかなり過酷な人生を送ってきたじゅじゅを、最初は「悲劇のヒロイン」のように思っていました。でも監督と話をして、どんなにつらい想いを抱えて生きてきたとしても、毎日ずっとつらいわけではない、と言われ、ハッとしました。
じゅじゅも、トー横に来てからは、コンビニに行って買い物をしたり、友達とおしゃべりしたりする時間も持てるようになります。そんな日常を丁寧に演じることで、彼女たちが抱える闇がより浮かび上がるよう意識しました。
──撮影は、実際に歌舞伎町のトー横で行われたのですよね。
森 はい。私たちが撮影している横で、本物のトー横キッズから「俺が本物だ!」と叫ばれたこともありましたが、その独特な雰囲気も含めて、私がじゅじゅになるために必要な要素として、ありがたく受け取らせてもらいました。
歌舞伎町にはものすごくたくさんのスピーカーがあって、いろんな音が同時に聞こえてくるんです。撮影で一日歌舞伎町にいると、音の大きさと情報量の多さに脳がぐったり疲れるほどでした。
本作のキャラクターに特定のモデルがいるわけではありませんが、実在する場所で撮影する以上、覚悟も必要でした。撮影期間中は何を食べても太らなかったので、精神力も体力も相当使っていたのだと思います。


