DVや依存症問題の第一人者として知られ、日本公認心理師協会の会長を務める信田さよ子氏(79)。法務省が設立した「性犯罪者処遇プログラム検討会」にも名を連ねる。
なぜ凄惨な事件は繰り返されるのか。被害を食い止めるためにはどうしたらよいのか。対策について話を聞いた。(現在配信中の「週刊文春 電子版」および4月2日(木)発売の「週刊文春」より一部を抜粋してお届けする)
カウンセリングの受講を拒否できる…日本の法律の問題
恋愛感情を抱く上で、誰しも多少の執着心は持っています。では、それがなぜ相手に危害を加えるという極端な思考に繋がってしまうのか。その原因は、社会的孤立とスマホの普及にあると言えます。
孤立を深め、周囲に相談できない加害者は、自分の行動を客観視できない。加えてスマホの普及により、頻繁なメッセージのやりとりだけでなく、位置情報の共有までが容易になりました。つまり、相手を簡単に支配し、所有する感覚を得られるようになったのです。だからこそ、その関係性が断ち切られると大いに傷つき、極端な考えに至ってしまうのです。現代社会において、ストーカーが相手に危害を加える事件は、さらに増えていく恐れがあります。
被害はどうしたら防げるのか。私は、ストーカー加害者に対し、更生プログラムを強制的に受けさせるための法改正が急務だと考えています。
今回の事件でも、加害者はストーカー規制法違反などでの逮捕後、警察から勧められたカウンセリングを拒否したと報じられています。ですが、カウンセリングの受講があくまで任意でしかなく、拒否できること自体に、日本の法律の問題があるのです。
先進国での事例…性犯罪の再犯率が9分の1まで減少したデータも
先進国の中でも日本は、ストーカーや性犯罪、DVに関する法規制で最も遅れを取っています。たとえば韓国では、ストーカーや性犯罪などで有罪判決を受け、再犯の恐れがある加害者に対し、GPS付きの足輪を装着させる制度があります。この足輪の導入により、性犯罪の再犯率が9分の1まで減少したというデータもあります。
また、私が以前視察したカナダでは、要件を満たした加害者に更生プログラム参加を義務付ける命令を出し、再犯せずプログラムを終えればそれ以上罪に問われない仕組みがあります。
翻って日本では、どれだけ危険性があっても、明らかな加害行為が起きるまでは、加害者の自由を制限することはできません。しかし、こうして被害者が後を絶たない以上は、接近禁止やGPS着用に加え、加害者へ更生プログラムを強制的に受講させる法整備が必要でしょう。
では、加害者の更生のためには、どのようなアプローチが必要なのか。
《この続きでは、信田さよ子氏の提言とあるべき対策などを詳しく報じている。記事の全文と広川容疑者が事件を起こすまでの人生を追った総力取材記事も現在配信中の「週刊文春 電子版」および4月2日(木)発売の「週刊文春」で読むことできる》


