「逮捕される案件は実被害数の1%未満」「日本は性加害に甘い国」――子どもへの性被害を巡る実態は、想像をはるかに超えるほど深刻だ。

 そうした子どもの性被害をテーマにした電子コミック『性被害のせいで、息子が不登校になりました』(著者:あらいぴろよ、監修:斉藤章佳、KADOKAWA刊)が2025年12月に刊行された。同書に取材協力し、NPO法人「子ども支援センターつなっぐ」の代表理事・弁護士である飛田桂氏は、長年にわたって性被害を受けた子どもたちの支援に取り組んできた人物だ。その現場で見えてきた「家庭内性被害」の実態と、日本社会が抱える認識のゆがみを聞いた。

子どもへのおぞましい性犯罪を描いた漫画『性被害のせいで、息子が不登校になりました』

「実父は性加害なんてしない」は大間違い

 飛田氏が携わる児童相談所などを対象とした調査報告書によれば、加害者の属性として最も多いのは「実父」(59件)であり、「養父・継父」(34件)を上回る。「実父は性加害なんてしない、というのは大間違いです。そういう類型の人が一定数いることは、広く知られてほしい事実です」と飛田氏は語る。

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 被害は幼いころから始まることが多い。「多くは年長ぐらいからAVを見せたり、お風呂に入りながら体を触ったりという感じで始まり、高校生ぐらいまで長く続きます」と飛田氏は言う。もう一方の親が気づいていないケースもあれば、気づいていても見て見ぬふりをするケースもある。子どもが勇気を振り絞って母親に打ち明けても、「何言ってるの、気持ち悪い」と一蹴されてしまうことも珍しくないという。

 追い詰められた子どもは誰にも言えず、ふさぎ込んでいく。加害者への抵抗が実らないとやがて無気力になり、支配される関係が長期化してしまう。「支配性と性被害は密接に結びついているんです」と飛田氏は指摘する。

性被害を受けた子どもの支援にも取り組む飛田桂弁護士(写真提供=本人)

 さらに飛田氏が問題視するのが、日本社会における性加害への甘い認識だ。

「高校生の娘と父親が一緒にお風呂に入っている」という話がメディアで悪意なく紹介されているが、これはアメリカでは児童虐待に該当するという。「いつまでも父親とお風呂に入り続けていたら、『知人のおじさんとも一緒にお風呂に入っていいんだ』などと勘違いしかねません」と警鐘を鳴らす。

 被害を防ぐために家庭でできることもある。

「お子さんが年長ぐらいになったら、性被害の予防教育を実践するのが良いと思います。日本では性の話をタブーにする傾向がありますが、それが性被害の発見を遅らせてしまいます」


 性犯罪者たちによる、子どもを対象にした「想像を絶する手口」や、被害に遭った子どもたちが見せる「性化行動」と呼ばれる言動など、子どもの性被害を最前線から見てきた飛田氏のインタビュー全文は、下記からお読みいただけます。

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