お金の問題は、お金があれば解決できる
よく「目標は資産1億円」と言われますが、データを見ると、たしかに金融資産が1億円を超えたあたりから、それ以上お金が増えても幸福度は上がりにくくなるようです。
それはおそらく、1億円という資産がもたらす「安心感」が大きいからでしょう。日本政府は大きな借金を抱えており、将来「国が破産したので年金は払えません」と言われる可能性もゼロではありません。そんな時でも、持ち家と1億円の金融資産があれば、「自分と家族はなんとかなるだろう」と思える。その安心感は何物にも代えがたいものです。
お金にとらわれすぎるのは不幸ですが、お金の問題は、お金があれば解決できます。人生には、人間関係や健康など、お金では解決できない問題がたくさんあります。お金の心配をなくすことで、もっと重要な人生の課題に集中できるようになるのです。資産形成の目的は、そこにあるのではないでしょうか。
若い人はまず、人的資本を高めることが重要
最後に、これから資産形成を始める若い方々へのメッセージです。
最近は「投資をしていないと乗り遅れる」といった、不安を煽るような風潮がありますが、私はそれに疑問を感じています。人生の優先順位は人それぞれで、誰もが株のプロになる必要などありません。本当に投資が好きな人は、誰に教わらなくても勝手に始めています。
『新・臆病者のための株入門』で紹介しているインデックス投資は、誰でもできて、コスパもタイパも良く、ノーベル賞のお墨付きまである「最強」の資産運用方法です。基本はこれだけで十分。それ以上のハイリスクな投資にチャレンジしたい人だけが、次のステップに進めばいいのです。
とはいえ、20代で無理に新NISAで毎月1万円を積み立てる必要はないと私は考えています。若い時期に最も重要なのは、働いてお金を稼ぐ力、すなわち「人的資本」を高めることです。
一生懸命働き、人的資本が大きくなり収入が増えた30代、40代から積み立てを始めても、まったく遅くはありません。むしろ、積立額が大きい方が最終的な効果は高くなります。
これからは生涯現役で働く時代です。70歳、80歳になっても、趣味の延長のような形で働き、月に5万円でも10万円でも収入があれば、生活は豊かになります。
日本は「衰退途上国」などと揶揄されますが、それでも世界的に見ればまだまだ豊かな社会です。将来を過度に悲観せず、まずは人的資本という自分の土台をしっかりと作り、その上でお金の心配をなくし、好きなことをやりながら自己実現していく。そんな人生を送ってほしいと願っています。
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※1デリバティブ…株式や金利、為替などの元となる金融商品から派生して生まれた「金融派生商品」。先物取引やオプション取引などが含まれる。少ない資金で大きな取引ができるが、その分リスクも高い。リスク回避や収益拡大のために使われる高度な道具だ。



