あなたは太くあっていい。一本の大木になれるのだから

 対談の終盤、東出氏は現代を生きる若者に向けてメッセージを求められた。その言葉は、情報があふれる時代への危機感から始まった。

「目に飛び込んでくる扇情的なニュースやタイトル、SNSで友人があげる『インスタ映え』する写真。そういった何かの思惑を含んだ情報が氾濫する中にいると、心が疲れて『自分は何がしたかったんだっけ』と分からなくなり、アップアップしてしまうように思います」

 

 そのうえで東出氏は、司馬作品の持つ力をこう表現した。

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「いわば人間の木の幹のようなもの。『あなたは太くあっていい。いずれ一本の大木になれるのだから』と、自分が大きな器であることを青年期に教えてくれます」

 損得に流される世の中への警鐘を鳴らし続けた司馬が説いた「静かに燃える青い火」のような志を、今の時代に持ちにくくなっているからこそ、「『自分の人生はもっと豊かにできるかもしれない』と、心の中の揺らめく炎を思い出させてくれるのが、司馬作品の魅力です」と述べた。

「若い子が読んだら人生が豊かになると率直に思います」。そう言った直後、東出氏は自ら笑って付け加えた。「なんて言うと、一気に年を取ったなと感じますね。でも、突き詰めれば『読んだらマジで面白いから!』と言いたいです」。

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