主演が黒木華で、バディ役には野呂佳代。なんとも贅沢なキャストで、放映前から期待は膨らむばかり。

 与党実力者の父の逆鱗に触れ政界を追われた娘が、偶然に出会ったスナックのママを都知事選に担ぎだして、権力に立ち向かう。

 番宣には“選挙エンターテインメント”とある。政治の闇との対峙がテーマだと、松本清張を十倍薄めた政界謀略ミステリーになる。

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 星野茉莉(まつり)(黒木華)は、与党幹事長の父(坂東彌十郎)が、医大の学部長転落死に絡んでいると疑って、父の汚れ仕事をずっと担ってきたのに非情に捨てられた。幼なじみで与党のホープ日山流星(松下洸平)も彼女を裏切る。

 そんなとき下町のスナック「とし子」のママ、月岡あかり(野呂佳代)と出会う。常連客も少なく、経営も厳しいのに、人には優しく、茉莉がお守りにしている玩具ライトを無くしたとき、居合わせたあかりが一緒に探してくれた。

 キャリアをすべて奪われた茉莉は、彼女を貧困や医療、育児を解決する都知事にと思う。「あたし、人の上になんか立てない」と、あかり。「上じゃないです、前です。同じ道を歩くんです」と茉莉は頼む。

公式サイトより

 そんな会話を交わす二人が魅力的でね。「とし子」の店名は先代のママ(木野花)の名前から。とし子ママが作ってた絶品の卵サンドを、茉莉とあかりが涙ボロボロ流して食べる。

 このドラマで黒木と野呂の二人は、本当によく走って、涙を流す。おれはね、涙を臆面もなく流すドラマって苦手なんだ。お涙頂戴って、安っぽくて偽善の臭いがする。でも当代きっての俳優が演じる涙は清々しいの。演技の力だよ。黒木華の実力と個性は誰もが認めるところだが、野呂佳代も魅せる。この二年以上、連ドラに欠かさず出演しているが、ついに大役と巡り合って立派にこなした。

 政治を知らないスナックのママを都知事にって現実味がないという感想があった。あのね、可能性はあるの。この最悪な時代だから。昨年のNY市長選挙で、無名の元ラッパーで、インド系ムスリムのゾーラン・マムダニ(34)が当選し、家賃上昇の凍結や市営バス無料化など社会主義政策を推し進めている。

 共和党も民主党も嫌いというダブルヘイターズの心を掴んだのが勝因だ。おれもね、自民党は腐ってるし立民もインチキ。そう思うダブルヘイターだけど、あかりと茉莉なら応援を惜しまない。権力欲ムキ出しの蓮舫や高市早苗にはない優しく公平な正義が、あかりや茉莉の政治にはある。

 好きなのは、家を追い出された茉莉が、あかりの部屋に居候して、寝る前にアイスクリームを二人で分けて食べる場面。男同士もアイスを半分っこして食べれるようになるといいな。

『銀河の一票』
関西テレビ制作・フジテレビ系列 月 22:00~
https://www.ktv.jp/ginganoippyou/

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