ゴルフで2、3本いいショットが出るとバーッと感動する
――女性に対して雪解けができてきたわけですね。そして「絶対おっさんになってもそんなことやらねぇよ」と思っていたゴルフの話が増えてきます。
若林 ゴルフは、打ちっぱなしにメチャメチャ行っています。ただ、仕事が夕方から始まる日とか休みの日じゃないとなかなかコースは回れない。もっと行きたいんですけど月に1、2回になっちゃうんです。全然下手で、105とかで回るんですけど。
――10年前の若林さんから考えると、まさかゴルフをやるとは。
若林 信じられないですね。自分でもね。
――35歳で初めてプロレス観戦にも行ったり、DJ機器も買ったりといろいろ趣味も増えてきて。
若林 男のことしかわからないですけど、中学、高校まで、それこそアメフトとか、海でロケット花火とか、“男の狂気”を解放するタイミングってあったんです。でも社会人になると、やっぱりネジ飛んじゃダメじゃないですか、どこでも。
――理性を保たないといけないですよね。
若林 だけどプロレスを見にいったりとか、ゴルフで1日に2、3本いいショットが出るじゃないですか。あのときバーッと感動するというか、そういう楽しいなと思うということがないと、ちょっとなかなか生きていくのは大変なもので……趣味がないと難しいんだなと思うのはそのへんからでしたかね。
――『ナナメの夕暮れ』からはまさにそんな若林さんの心境の変化を感じ取れます。この本をどんな人に読んでもらいたいですか。
若林 それなんだよな。クラスの落ちこぼれだからね、ほんとに。誰が共感するのかなんて、本を出すたびに思うんですけど。それにしちゃ売れてるなと思って(笑)。でもひとつは、共感だけじゃなくて、こんなふうに考える奴もいるんだなというふうに笑ってもらうのでも全然うれしい。
あともうひとつ、おじさんって孤独なんだけど、「孤独なんだ」って言う場所が意外とないから、「おまえもそうなんだ」みたいに同年代に思ってもらいたいのはあるかもしれないですね。
写真=平松市聖/文藝春秋