合宿地となるメキシコに向かう直前、成田空港で行われたセレモニーで、日本代表監督の森保一(57)はこう高らかに宣言した。

「W杯で我々が優勝するところを、喜んで頂けるように頑張ってきます」

長期政権を築いた森保一監督 ©時事通信社

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森保一とはどんな男なのか?

 6月12日(日本時間)、北中米W杯が開幕する。日本代表はメンバー26人中、23人が海外クラブ所属。堂安律(フランクフルト)や久保建英(ソシエダ)らスター選手を擁し、“史上最強”とも謳われる。

 命運を握るのが、2018年からチームを率いる森保だ。22年のカタールW杯ではドイツとスペインに先制されながら、後半に攻撃的選手を次々に投入する強気采配で逆転勝利。クロアチアにPK戦の末に敗れたが、世界に衝撃を与えた。

 今回、日本はアジア最終予選のC組で圧倒的な強さを見せ、世界最速でW杯出場を決めた。親善試合ではあるが昨年10月にブラジル、今年3月にはイングランドを撃破。FIFAランキングで18位につけている。

 だが、日本は過去のW杯の最高成績はベスト16にすぎない。そんな中、「優勝」を掲げる男とはどんな人物か? 筆者は『逆転監督 森保一』の取材で森保に2年半に亘り密着し、複数の関係者に話を聞いた。そこで判明した素顔とは――。

逆転監督 森保一』(文藝春秋)では、監督へのインタビューを重ねた

中学卒業式で金髪、サッカー部を高2の夏に退部

 森保の原点は長崎の造船町にある。静岡県で生まれたが、父親の仕事の関係で小1の時に長崎市深堀町に移り住む。明るく元気な彼は、やんちゃなグループのリーダー的存在で、中学校の卒業式に金髪で現れる伝説も残している。1学年下の幼馴染・樋口紀彦は本の取材時にこう語った。

「卒業生が入って来たら一人だけ金髪の人がいて。『ええっ?!』と驚いていたら、なんとハジメ君だったんです。衝撃でした。同級生に手伝ってもらい、オキシドールで脱色したそうです。朝一番、教室で担任の先生に見つかり、首根っこをつかまれて水道で洗われたそうなんですが、落ちるわけなかですよね。翌日には坊主にさせられていました」

 高校生になってもやんちゃさは衰えない。長崎日大高にサッカーの特待生で入るも、高2の夏に退部。2週間学校へ行かなかった。

「深堀中時代の同級生たちと、夜な夜な遊び歩いていたみたいです。深堀中の仲間の多くがすでに就職して、自由に遊べるお金を持っていましたから」(同前)

 父親と監督の下田()(よし)の働きかけで復帰したが、10代特有の不安定さを抱えていた森保。競技面でも、県予選で強豪・国見高が立ちふさがり、長崎日大は一度も全国大会へ行けなかった。実業団入りを目指していたが、スカウトに見てもらえる舞台に立てていなかった。